雨の音がごおごおと続き、時折雷が落ちる不穏な天候。それに増して、現在はAM二時。丑三つ時と来た。ホラー映画などを見たものならば、子供は一人でトイレに行けずにまごまごしている時間帯だろう。
そんな時間、少年はむくりと起き上がり、目をこすりながら暗がりな部屋を歩き出す。
――その背後から、何かが忍び寄っているとも知らずに。
トントントン。少年の足音。
トントントン。今度は別の何かが立てる音。
少年は振り返る。しかし、背後には何も見当たらない。
勘違いかなぁ。少年はまた歩きだした。
トントントン。少年の足音と共に。
トントントン。別の何かの立てる音。
キィーッ。今度は、爪を金属に突き立てたような、不快な音がした。
少年が振り返るが、音の正体は掴めない。
暗がりなのだ、仕方ない。
少年は眉間にしわを寄せながらも、一息ついて前を向く。その刹那、少年の小さな顔を、真っ白な掌が覆いつくした。