明るい照明が照らす中、私は大きな機械を使って金属を削り出し、小さな部品を作っていた。
ここは都内に有る小さな金属加工工場。高校卒業後すぐに就職し、ここで働き始めた。
すぐに就職したと言っても、大学進学を諦めたわけでは無く、私が通っている大学は夜間で、日中はここで仕事をしている。
別に実家の家計が苦しいわけでは無い。むしろ私の家は裕福な方だろう。だけれども私はあの家に居たくなかった。
私の家は格式有る家柄で、高校生の時にお見合いをさせられたりもした。その時、私には断る権利など無かったのだけれど、どういう巡り合わせか、相手は後輩の友人だったので、なんとか頼み込んで相手方に断って貰ったのだ。
それ以降、私は家で居づらい思いをした。もしかしたら、あの時の縁談に乗って婚約を交わしてしまった方が楽だったのかも知れない。
でも、どうしてもそれは受け入れられなかった。