ぼくはついつい
手に持っていたリモコンを
テレビに向けて放り投げていた
テレビはただ
ざーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
っと
意味もなく砂嵐のような音をだして
うずくまっているように見えた
やがて
おとはしなくなり
部屋に静寂が訪れた
時計の時を刻む音
鳥のさえずり
木々のこすれる音
車のタイヤの擦過音
こんな意味のない
いつも耳にしている音
それだけが
部屋に響く
あたりまえだった
あの音を除いて
そう。
笑い声
泣き声
子供を叱責する声
そんな音だけ
なぜこの日常から奪われてしまったのか