――それはある日の夜のこと。
猫たちは駐車場で何をするでもなく、たむろっていた。
……
……
……
……
……
と、いう訳でして……
夜な夜な近所の駐車場でですね、猫集会が催されていることに気付いたんですよ！
この店の一番人気の「元気が出る！ラーメン」をすする。
この商品は特に仕事帰りのサラリーマンに人気の一品で、その日の疲れがスッキリと取れ、また食べたくなる不思議な味なのだ。
俺もまかないの食事はいつもこのラーメン一択。
バイトが休みの日はわざわざ出向き、食べに来ているほどだ。
あれだろ？ 特に鳴かず、かと言ってじゃれ合うわけでもなく……
ただ、集まってジーッとしてるってヤツ
不思議だよなぁ……
ふぅ……ご馳走様でした！
お粗末さん！
おおお！ この気持ちの昂ぶり！
今日、１日の疲れが吹っ飛んだ気がする。
まさしく「元気が出る！ラーメン」だ。
……それはともかく、話を戻そう。
そうなんですよ！
彼らは何をしているのか……そして、何を考えているのか……
それを考えると、夜も眠れなくて……
……
ハァ、ハァ……
どうして息が荒くなる？
いえ、あれやこれや考えていたら、つい……
一つ言えることは……
お前のように、エ〇いことは考えていないだろうってことだな！
そんなこと分からないじゃないですか！
もしかしたら、妄想対決をしてるかもしれませんし……
たとえば？
（猫の声色で）うちの女子〇学生の飼い主ったらニャ……
（猫の声色で）夜な夜なリコーダをニャ、あんなトコやそんなトコに……
うぉい！
何ですか？
お前が優勝でいいわ……
当然ですニャ！
つーかさ、猫集会に参加してみれば、何か分かるんじゃねーの？
はい？
倉庫に猫の着ぐるみがあるからさ、それを着て猫集会に混じれば、謎が解けるって！
ちょっと待ってろ、と言うと店長は倉庫に向かい、猫の着ぐるみを持って戻って来た。
どうよ？
素晴らしい……
さらに、うちの裏メニュー「またたびラーメン」に入れる「またたび」を、ほら……
着ぐるみに振り掛けて……っと、一丁上がり！
完璧ですね！
だろ？ 早速、着てみ？
着ぐるみを着たとは思えない効果音でしたが……着てみましたニャ
どうですかニャ？
大きさが２メートルくらいあることを除けば……
うん！ 猫にしか見えないぞ！
ふっふっふ……それは重畳……
では「善は急げ」……じゃなかったニャ
「猫は急げ」ということで、今日は上がりますニャ！
分かってるだろうが……
早引けした分、バイト代は出ないからな？
時間いっぱい頑張りますニャー！
よろしい
んー、皿が洗えないニャ……
取りあえず脱ごうか！
パンツをかニャ？
……
い……良いのか？
や、やっぱりこのまま帰りますニャ！
冗談だって！
……
ちなみに今夜、俺は空いてるぜ？
俺の方は今日も明日も明後日も……ずっと空いてませんニャ！
ふー、危なかった……
冗談で言ったつもりが、貞操の危機を招くことになるなんて……
そろそろ辞め時かもな……
この角を曲がれば、例の猫集会が催されている駐車場だ。
よし、猫になりきり、何食わぬ顔で集会に混じるニャ
そして、ついに猫集会の謎が暴かれることとなる……。
－続く－
