THANK YOU FOR PLAYING
本編へ続く
島は、ノルをソファーに寝かせ、やわりと髪を撫でた。
ノルは、くすぐったそうに目を細めたが、まだ息が上がっている。
「ん…」
ノルが落ち着くまで見守ろうと、島は隣に腰を下ろした。
ノルちゃん まだ顔が赤いな
上気した頬に軽く触れると、反射的にノルが頬を摺り寄せる。
島は、その仕草を愛おしく思う。
「 … 」
島は、ノルの額に唇を寄せる。
慰撫するように口付けた後、軽いリップ音と共に唇が離れた。
と同時に、玄関の方から物音が聞こえてきた。
扉の閉まる音…そして足音が徐々に近づいて来る。
「ウェーイ! たっつんあざましMK~
…って何やってんの?」
朗らかな声と共に姿を現したのは、立一であった。
帰宅早々、ソファーで密着している二人を目にして、ぎょっとする。
「リューイチ」
立一の姿を確認するとノルは嬉しげに、ソファーから体を起こす。
何だか ちょっと 焼けるね
島は、少し複雑な気分だったが、ノルの調子も戻ってきた様で安堵の息を漏らした。
「立一 飯は?」
「あー ペコだわ 俄然ペコだわ」
「そ じゃあ キッチン借りるわ」
いつものやり取りをし、キッチンへ向かう島であったが、その後に続いた会話で足を止める事となる。
「とりま 俺 ちょい シャワるわ
ノルちんも入るっしょ?」
「 は ?! 」
島は耳を疑ったが、立一は至って平然としていた。
「おまえ 今 なんつった」
「あ? 何って風呂…」
「じゃなくて その後だよっ」
見れば、当然かのようにノルも立一の後に続きバスタオルを準備している。
「ちゃけば ノルちん一人で入れたら のぼせて溺れかけたって次第
いや まじ焦ったわ」
立一 ぜつゆる
島の心に、言い知れぬ妬ましさがふつふつと沸き上がって来ていた。
「…俺も入る」
「は? 何で」
「喧しい 入る!!」
「ちょ 何でガンギレ?!
てか男3人で風呂って何の罰ゲームよ」
二人が揉めていると、奥の部屋からC-HUが顔を出す。
「うるさいッチュよ 何騒いでるッチュ
か!」
「チューも一緒に入るか?」
揉めている二人とノルとを交互に見やりC-HUは、何かを察したように目を伏せる。
「そうッチュね あの二人に任せるのは
危険ッチュから…
ノルの事はチューが守るッチュ」
「?」
尻尾をピンと立てて意気込むチューに、ノルは不思議そうな顔をした。
この奇妙な共同生活は、もうしばらく続きそうである…。