内原

せんぱーい。今日図書館で朗読会あるみたいなんで行ってきますねー

根津

ん?内原行くんだ。
百合ヶ丘も行くの?

百合ヶ丘

私も行ってきます。
もしかして先輩達も行きますか?

湯島

んー、朗読かぁ。あんま難しい話とかわかんないんだよな

根津

私も、実は音声で物語聞くの苦手なんだ。だからここに居るよ

内原

市ヶ谷君は?

市ヶ谷

僕は、ここで部誌のプロット練ってる……

内原

そっか。じゃあ行ってきまーす

……と言うわけで、今回の朗読担当は葛西さんです。
それでは、よろしくお願いします

葛西

『タイムマシーンで過ちの前に戻れるのなら。
完全な僕の姿で、もっと君と話したい』

百合ヶ丘

ほわぁ……

内原

上手だねー

葛西

『僕が知らない胸の高鳴りを、形容する言葉を見つけてきたよ。
無機質で機械的な語彙たちが、温度を孕んで』

百合ヶ丘

…………

内原

…………

葛西

『君が僕に残した言葉が、僕の温もりのすべてだ』

……はい、ありがとうございました。
今回朗読をしてくれた葛西さんは演劇部ですので、もし興味が湧いた人は、覗いてみてはどうでしょうか

内原

ただいまー

根津

おう、どうだった?

内原

朗読してたの、演劇部の先輩だったんですけど

根津

そうなの?

内原

すごいかっこよかったよね!

百合ヶ丘

そう、すごくかっこいいんですよ!
キリッとしてて、演劇部の人は毎日あの先輩に会えるなんて、羨ましいなぁ

湯島

ん?演劇部って男子居たっけ?

内原

女子の先輩ですよ。でも、やっぱりかっこいい人はかっこいいです!

百合ヶ丘

あー、私もお近づきになりたい

湯島

……もしかして、今回朗読したのって葛西か?

百合ヶ丘

え?湯島先輩知り合いなんですか?

湯島

ああ、同じクラスなんだけど、あいつすごいんだよ

内原

すごいって、何がですか?

百合ヶ丘

脱いだらすごいんですか?

湯島

脱いだところ見られれば見てみたいけどな、残念ながら見たことはない。
何がすごいって、あいつ演劇部で役者やってて、すごいファンが付いてるんだよ

根津

ファンが付くって、この学校男子そんなに居ないでしょ?

湯島

男子じゃなくて女子のファンがほんとすごい。去年のバレンタインデーとかかなりヤバいことになってた

百合ヶ丘

えええ……そんな高嶺の花なんですか?

湯島

そうだな、迂闊に話しかけるとすごい周りから睨まれるから、俺は声が掛けづらい

市ヶ谷

それなら……無理に話しかける必要は無いのでは?

湯島

うん。だから俺は遠巻きに眺めて百合の世界を楽しんでる

根津

めげないね

湯島

百合の世界に男が介入してはいけない。それが百合男子のたしなみだ

根津

湯島が相変わらずどこに出しても恥ずかしいオタクで安心した

百合ヶ丘

でも、あの先輩と仲良くなりたいなぁ

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