嫁のことが好きで好きで好きで好きで大好きすぎてたまらない男。

その名もけながいたち(ペンネーム)。

結婚して数年経っても常に一緒にいたいと強く願い、たとえ仕事がある平日でも昼休みに電話をつないで声だけでもと嫁を欲する毎日を送っている。

これはどこかのオフィス街で毎日行われている愛の通信なのです。

やっと……君の声が聞けるね、今昼休みだよ

毎日お疲れ様、頑張ってくれてありがとう……

あぁ、君のその可愛らしい声が俺を聴覚から癒していく……

直で聞く君の声もいいけど、こうやって電話越しで聞くというのもいいよね

君の声の魅力を電波を通すことで倍増され脳がとろけてしまうようなふわふわした気持ちに……

えっと、恥ずかしいんだけど……ちなみに周りには誰もいないよね?

それなりにお昼休みのサラリーマンとかいるけど?

やめなよ! そんな外でそういうこと言うの!!

なんで?

だって誰かに聞かれたら恥ずかしいし……聞いてる人だって

いや、近くで聞いてる人なんていないし大丈夫だよ

それに、つい俺を語らせてしまう君の声の魅力がいけないと思うんだ

理不尽!

そうやってツッコミを入れる時の君も可愛いなぁ

声にどこか緊張というか初々しさを感じて愛おしいよ

そ、そんなこと言わなくても……

声だけで君がどんなに恥ずかしがっているか、照れてるかがわかっちゃうんだ

ずっと聞いてるからね……君の声、聴覚が欲しがってるんだよ……可愛い可愛い君の声を聞かせてって

……まぁ、昨日みたいに耳元で可愛く鳴いてくれるのも悪くは……

はいはい! まだお昼だよ!!

あ、そうだ今日のお弁当も美味しかったよ、さすが君の料理はそこらへんのお店より美味しいね

それは言い過ぎだよ、レシピ通りに作ってるだけだし

ふふ、それだけでなく君の愛を感じるからね

いつも君の愛をこの口で咀嚼し全て舐め取るように味わって嚥下し、その愛が全身に巡っていると思うと毎日のお昼が幸せの時間だよ

あ、ありがとう

……

ん? ねぇ、どうしたの?

……誰かの声がする

え?

2,3人の男の声だね……もしかして外出してる?

いやいやいや、してないよ!

本当に? あれほど外に出ちゃダメだと言ってるのにまさか……

だから出てないよ! テレビの音だよ、いつもテレビつけてるし

それにしても、やけに近くない? その音……

えっと、その……本当に家からは出てなくて、本当にテレビで……

ふーん……わかった、帰ったら確認するね

確認? えっと確認するってどうやって

フフ、そうだね……まぁ、君は嘘が苦手だからただじっと見つめて問いただせばすぐにボロ出そうだけど……

ひどい! そんなことありません!

……そうか、帰ったら楽しみだなぁ……

あ、そろそろ時間に……戻らなきゃ

了解〜 じゃあお仕事頑張ってね!

ありがとう、今日も可愛い声でまた一目惚れしちゃったよ……愛してる

午後からも仕事、頑張ってくるね

……そして、帰ってからは楽しみにしててね

えっ

そんな期待しなくても……じゃ行ってくるね〜

当初は本当に、嫁が外に出てるのではと懐疑的になっていた。
しかし次第に「どうお仕置きしてあげようか」と目的と手段が逆になってしまい
最後は一人楽しんでさえもいた。

その日の夜は、どんな行為が行われたのか……

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