広く深い青。宇宙へと来ていたリアン王国の兵士エリオは、宇宙船の窓から映ったデコボコの星を見つめていた。噂には聞いていたが、アレが「月」と呼ばれるものか。
船長とこうして話をするのも、最後になるやもしれない。エリオは船長に挨拶をして、宇宙船を飛び出た。
エリオは国から大きな任務を任されていた。
月にはたった一つの国があり、そこには、エリオ達が住む火星などより余程科学の進歩した最新設備の城があるのだと言う。
エリオの国は、レンガを幾つも重ねた城壁だ。他の国に比べても少々古臭い構造ではあったが、あの城壁も、幾度の戦いで王を守ってくれた有難い存在であった。
勿論、この月へ来たのは月の国の報告でもあったが、エリオに託されたのはそれだけではない。
カグヤ。人々からそう呼ばれる月の姫に出会い、自国と友好を誓ってもらうことなのだ。