俺が全てを失ってから数日後、つけっぱなしにしていたテレビからあるニュースが聞こえた。
俺が全てを失ってから数日後、つけっぱなしにしていたテレビからあるニュースが聞こえた。
・・・
芽節中学校で・・・
そのニュースによると数日前に近くの中学校で自殺未遂をした人がいたらしい。
原因はいじめらしい・・・
そんなことで・・・
たったそんなことで自ら命をすてるなんて・・・
俺は笑った。
理不尽なこの世の中を理解して笑った。
だから俺は知っている、この世の中で自殺をする愚かな人の話を
俺が三年前のことを思い出しているといつのまにか目の前には羽柴の家があった。
・・・
緊張してるのか?
はい、でもけじめはつけました。
覚悟はできてます。
そっか。
立派だよ、あんたは。
あら、また来てくれたの?
学校もないのにありが・・・
・・・
まなちゃん・・・
お久しぶりです、めぐみのお母さん・・・
あの、恵さんと話をしたいのですが。
とりあえず、家にあがって話をしましょう。
リビングにあがるとそこには中学生くらいの少年がソファでくつろいでいた。
まなさん・・・
お久しぶり・・・
薫、悪いけど大事な話があるから自分の部屋にいてくれる?
大事な話って姉貴のことだろ?
だったらボクも混ざっていいんじゃない?
ダメよ
チッ、わかったよ。
どーせボクなんかあれですからねー
あれってなんだ?
そう言って薫という少年は二階に上がっていった。
弟さんですか?
そうよ、態度が悪い子なの、ごめんなさい。
いえいえ、自分も思春期なんてあんなもんだったですから。
俺は平気に嘘をついた。
俺には思春期なんか来る余裕すらなかった。
とりあえず、そこのソファに座って話しましょう。
はい
三人がソファに座った後、重苦しい雰囲気が周りを包んだ。
すいませんでした、全て私のせいです。
私は今まで逃げてきました、めぐみと会うのが怖くて。
でも、謝らないといけないんです。
私はあの時謝れなかったことを後悔してます。
許してもらおうなんて思っていません、それでも親友として私は謝らなければならないんです。
顔を上げて。
ありがとう。
最近のめぐみは昔に比べると、少し元気が出ていた気がするの、あの学校に入れてよかったって思ったわ。
でもこないだから部屋に引きこもってる。
私が思うにめぐみは中学校のことを思い出してしまったのだと思うの。
だから、娘に会うのはやめてもらえませんか、これ以上、過去を思い出させて傷口を広げさせたくないんです。
・・・
待ってください、めぐみさんは葛藤してるんだと思います。
自分が変わるために自分と戦ってるんだと思います。
だからこそ、今背中を押してくれる人が必要なんです。
あなたに娘の気持ちの何がわかるの?
あの子の中学校の時のことも知らないのに。
わかりません、でも学校にいてわかるんです。
言動はきついこと言うけど、無理して嫌いになろうとして。
あいつは学校が好きなんです。
確かに会ってから数か月しかたってないけど、クラスも部活も一緒なんです、学校にいるときのあいつは俺が一番知ってます。
それにわかる。
羽柴はあの時の俺とよく似ていたから。
お願いします、めぐみさんに会わせてください!
でも・・・
俺たちは頭を下げ続けた。
わかったわ・・・
そうして俺たちは彼女の部屋に案内された。