紅夜

ゼーハーゼーハー…
自分より10cmも身長高いヤツをかついで走るはめになるとは…

銀執事

うおおお…危機一髪だったな

二人はギリギリの所でホームに無事たどり着き、汽車は通り過ぎていった

紅夜

まて、あの汽車運転士や車掌いなかったよな…!?

銀執事

乗客もいなかったみたいだったよね。無人の汽車とかまじかよ…
どうなってんだよ…

紅夜

とにかく、じっとしてても何もならない。周辺を調べよう

銀執事

そうだな

紅夜

うーん…駅名、霞んでて全然見えねぇ

銀執事

携帯も圏外だからGPSも使えないし…一体どこなんだよ此処は

紅夜

銀、さっき渡した俺の荷物ちょっと返してくれ

銀執事

はいよ

紅夜は持ってきていた自分の鞄を受け取り、中身を確認した

紅夜

携帯と充電器、財布、お守り、裁縫セット…あんま使えない物しか持って来てねぇな。
銀は?

銀執事

携帯とデジカメ、お茶と300円までのお菓子しか持ってきてないや。
あと懐中電灯の予備電池くらいかな

紅夜

お菓子300円分って遠足気分かよ!!!!

銀執事

悪いかよ!!!お菓子300円分選ぶのに小さい子供たちに紛れて駄菓子屋で1時間くらい悩んだんだからな!!

紅夜

おい何してんだよ大学生!!!

そんな無駄話をしながら、しばらく二人はホーム内の周囲を調べた

銀執事

見れば見る程古くさびれたホームだな。
何年も人が利用してないって感じ

紅夜

しかも凄く小さいホームだよな。特に目印になりそうなものもないし…
ん?あそこ、何か落ちてる

そこには古くさびれたホームには合わない、新しそうな手帳が落ちていた

紅夜

なんか見覚えのあるような手帳だな…

手帳を拾い上げると、一枚の紙が落ちた

紅夜はその紙を見た瞬間、目を見開いた

銀執事

誰かの名刺みたいだね。
そんなに思いつめた顔をしてどうしたの?

紅夜

2年前に行方不明になった俺の


…兄のものだ

銀執事

えっ…それじゃあこの手帳って…

紅夜

俺の兄のもので間違いない。
昔、俺が兄の誕生日にプレゼントしたものだ

銀執事

でもどうしてこんな所に…

紅夜

わからない。手帳の中身を見ると何かわかるかもしれないし見てみよう

手帳を開くとそこには兄の日記が書かれていた

銀執事

日記を毎日書くなんてすごいな。
自分だったら3日ももたないや…

紅夜

兄はとてもマメな人だったからね。日記を書くのはいつもの事だったよ

銀執事

すごいなぁ
あれ?このページで最後か…書きかけみたいだね

紅夜

これは…行方不明になった当日の日記だ

 

”○月×日”

”仕事帰り、前から気になっていたとあるトンネルに行ってみたところ、突然雨が降り出し、トンネルで雨宿りをする事となった。

天気予報では晴れだったはずなのに…

ここのトンネルは工事が中止されて開通していないはずなのだが、今見ると開通している。

取りあえず奥に進んでみるとしようか”


銀執事

紅夜のお兄さんも自分等と同じような境遇だね

紅夜

そうだな。ということは兄も此処に来ていたという事か…?

銀執事

ここに手帳が落ちてたくらいだし、多分…

紅夜

まさかこんな所に来てたなんてな。
怖いの苦手だったはずなのに…

銀執事

というかさっきから違和感を感じない?

紅夜

え?

銀執事

だってさ、夏の山奥なのに虫の姿や鳴き声も聞こえないし、さっきからずっと風一つないし…

紅夜

言われてみれば確かに。本当にここは俺たちのいた世界なのか?

銀執事

ああもう、いろいろ一気に沢山変なこと起こりすぎて訳わかんねぇ!!!

と、その時

1本の汽車がホームに止まった

紅夜

ま、また無人だぞ…

銀執事

さっきの汽車か…?

紅夜

止まったものの、汽車のドアは一向に開く気配ないし進む気配もないな…

気になり汽車に少し近づく二人

銀執事

な、なんか汽車の中赤くない…?

紅夜

本当だ。こんな赤かったっけ?

銀執事

なんだか不気味だよね

不思議に思っていたその瞬間

突然血まみれの手形が汽車の窓ガラス全体に現れた

銀執事

うわぁぁあああああああああああ

紅夜

何なんだよこれはあああああぁああぁぁぁぁあああ

突如現れた手形に驚いた二人は叫びながら、急いでその場から飛び出し、ホームから離れるように逃げていった

=2話=
終了

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