二人はギリギリの所でホームに無事たどり着き、汽車は通り過ぎていった
ゼーハーゼーハー…
自分より10cmも身長高いヤツをかついで走るはめになるとは…
うおおお…危機一髪だったな
二人はギリギリの所でホームに無事たどり着き、汽車は通り過ぎていった
まて、あの汽車運転士や車掌いなかったよな…!?
乗客もいなかったみたいだったよね。無人の汽車とかまじかよ…
どうなってんだよ…
とにかく、じっとしてても何もならない。周辺を調べよう
そうだな
うーん…駅名、霞んでて全然見えねぇ
携帯も圏外だからGPSも使えないし…一体どこなんだよ此処は
銀、さっき渡した俺の荷物ちょっと返してくれ
はいよ
紅夜は持ってきていた自分の鞄を受け取り、中身を確認した
携帯と充電器、財布、お守り、裁縫セット…あんま使えない物しか持って来てねぇな。
銀は?
携帯とデジカメ、お茶と300円までのお菓子しか持ってきてないや。
あと懐中電灯の予備電池くらいかな
お菓子300円分って遠足気分かよ!!!!
悪いかよ!!!お菓子300円分選ぶのに小さい子供たちに紛れて駄菓子屋で1時間くらい悩んだんだからな!!
おい何してんだよ大学生!!!
そんな無駄話をしながら、しばらく二人はホーム内の周囲を調べた
見れば見る程古くさびれたホームだな。
何年も人が利用してないって感じ
しかも凄く小さいホームだよな。特に目印になりそうなものもないし…
ん?あそこ、何か落ちてる
そこには古くさびれたホームには合わない、新しそうな手帳が落ちていた
なんか見覚えのあるような手帳だな…
手帳を拾い上げると、一枚の紙が落ちた
紅夜はその紙を見た瞬間、目を見開いた
誰かの名刺みたいだね。
そんなに思いつめた顔をしてどうしたの?
2年前に行方不明になった俺の
…兄のものだ
えっ…それじゃあこの手帳って…
俺の兄のもので間違いない。
昔、俺が兄の誕生日にプレゼントしたものだ
でもどうしてこんな所に…
わからない。手帳の中身を見ると何かわかるかもしれないし見てみよう
手帳を開くとそこには兄の日記が書かれていた
日記を毎日書くなんてすごいな。
自分だったら3日ももたないや…
兄はとてもマメな人だったからね。日記を書くのはいつもの事だったよ
すごいなぁ
あれ?このページで最後か…書きかけみたいだね
これは…行方不明になった当日の日記だ
”○月×日”
”仕事帰り、前から気になっていたとあるトンネルに行ってみたところ、突然雨が降り出し、トンネルで雨宿りをする事となった。
天気予報では晴れだったはずなのに…
ここのトンネルは工事が中止されて開通していないはずなのだが、今見ると開通している。
取りあえず奥に進んでみるとしようか”
紅夜のお兄さんも自分等と同じような境遇だね
そうだな。ということは兄も此処に来ていたという事か…?
ここに手帳が落ちてたくらいだし、多分…
まさかこんな所に来てたなんてな。
怖いの苦手だったはずなのに…
というかさっきから違和感を感じない?
え?
だってさ、夏の山奥なのに虫の姿や鳴き声も聞こえないし、さっきからずっと風一つないし…
言われてみれば確かに。本当にここは俺たちのいた世界なのか?
ああもう、いろいろ一気に沢山変なこと起こりすぎて訳わかんねぇ!!!
と、その時
1本の汽車がホームに止まった
ま、また無人だぞ…
さっきの汽車か…?
止まったものの、汽車のドアは一向に開く気配ないし進む気配もないな…
気になり汽車に少し近づく二人
な、なんか汽車の中赤くない…?
本当だ。こんな赤かったっけ?
なんだか不気味だよね
不思議に思っていたその瞬間
突然血まみれの手形が汽車の窓ガラス全体に現れた
うわぁぁあああああああああああ
何なんだよこれはあああああぁああぁぁぁぁあああ
突如現れた手形に驚いた二人は叫びながら、急いでその場から飛び出し、ホームから離れるように逃げていった
=2話=
終了