□題目 美少女太平記


■序論

 人の世は常に闘争を繰り返し、決して恒久的な平和がもたらされることはない。
 果たして何故、人の世は安定できないのであろうか。私はその原因を突き止めようと思い、過去の様々な歴史を分析してきた。その結果、二つの大きな要因に突き当たることができた。
 美少女ヒロインと、それに付き添う主人公。
 美少女ヒロインは、永遠不滅にして絶対普遍の魅力を持つ。諸行無常・栄枯盛衰・万物流転……それらの理を覆す唯一の存在だ。この美少女をすべての人が崇めることで、平和は確固たるものになるのである。
 付き添い型主人公も必要不可欠だ。主人公でありながら実際には引立て役であり支えとなるこの付き添いがいてこそ、ヒロインの座は確立される。もしもこの主人公がいなければ、メインヒロインは他のヒロインキャラとの区別がなく、ただのモブキャラに成り下がることさえありうるのだ。
 しかし――。
 たとえ魅力的な美少女であったとしても、そして美少女ならば大抵のことは許されるとしても、物事には限度というものがある。度を超したことをしていれば、いかに美少女でも支持を得られず、世は混乱に陥るだろう。
 また主人公のほうも、例えば複数のヒロインから好意を寄せられるような立場で我を忘れれば、誰がメインヒロインなのか不明瞭になり、新たな闘争の火種となる。メインヒロインが確定していなければ、必ず世は混乱するのである。
 先人が残してくれた数々の歴史の教訓。後世に活きる我々は、それをよく吟味し、活かしていかねばならないのではないだろうか。

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