その昔、必死で生きるお爺さんとお婆さんがいました。
 お爺さんは毎日必死に山へ芝刈りに、お婆さんは毎日必死に川へ洗濯に行っていました。
 お婆さんがいつものように必死で洗濯をしていると、川上から大きな桃が流れてきました。
 お婆さんは老体に鞭打ちながら、必死の想いで桃をすくい上げ、必死にかついで持ち帰りました。
 二人が必死で桃を切ると、中から赤ん坊の必死な泣き声が聞こえました。
 名前は、必死に考えられた末、桃太郎となりました。
 お爺さんとお婆さんは必死で桃太郎を育てました。それに応えるように、桃太郎も必死に急成長をしました。
 大きくなった桃太郎は、必死に鬼退治を誓いました。
 お爺さんとお婆さんは桃太郎のために、必死で刀やきび団子を用意しました。
 道中、餓死寸前のイヌ・サル・キジが必死で物乞いをしてきました。桃太郎との必死の交渉の結果、きび団子と引き換えにお供になりました。
 鬼が島では、鬼たちが必死に抗いました。領土と愛する家族のため、必死の形相で戦いました。しかし桃太郎たちの必死の活躍により、皆殺しにされました。
 鬼が島の財宝を必死にかき集めた桃太郎は、必死に帰還しました。村人たちは桃太郎を必死で称え、必死に財宝を分け合いました。
 桃太郎たちはいつまでも、必死に贅沢をして必死に幸せに暮らしました。

 めでたひっしめでたひっし。

必死な桃太郎

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