ぼくは下北沢で指圧の治療院をやっている。今年でもう営業して3年になった。

営業を始めてわかったことは、お客さんのニーズはこちらの想像と少し違うところにあるということだ。

今回来てくれたのはNさん。数ヶ月に一度、千葉の外房から来てくれる。ざっと片道3時間というところだろうか。

斎藤

Nさん、毎回ものすごく遠いところから来てくれますよね……。

Nさん

ふふっ。それは先生の施術を楽しみにしていますからね……。

斎藤

イヤイヤイヤ。この距離じゃまるっきり小旅行じゃないですか。

ぼくも千葉の外房に遊びに行きたいと思っているけど、なかなか行けないくらいですし。

Nさん

……先生、「近ければいい」ってものでもないんです。

話を聞いてみるとこういうことだった。

Nさんは子どもを出産して半年のママだ。子どもはかわいいが、子育てはやはり疲労するという。

Nさん

本当はね「子どもと夫から丸一日離れてひとりになりたい」ってのが強いんです。

でもそんなこといったら、心配されちゃいそうで。

だから「下北沢に凄腕の先生がいる、そこじゃないと子育ての疲れはとれない」って言って丸一日かかることにしているんですよ。

斎藤

なるほど……

Nさん

ある意味、電車に乗りに来ているのかもしれないですね。ひとりで。昔からそういうの好きなんです。

なるほど、ぼくは単なるダシだったのか……。

Nさん

あ、先生の施術もすごくいいですよ! これはお世辞じゃなくて! 

斎藤

フォロー入った!

斎藤

じゃあ、ぼくがNさんの家の近くで開業してらどうします? 

Nさん

惜しいなあ……って思いますね 笑

ぼくが介在する施術よりも「ひとりの時間」が自分をより癒やしてくれる……というのはあるのかもしれない。

斎藤

電車の中でなにしているんですか?

Nさん

読み損ねていたデイリーポータルZを読んで、そのあとは寝てますね。

斎藤

それ、最高ですね……。

以上、下北沢ふしぎ指圧の人たちその1でした。
http://fushigishiatsu.com/

外房から来るひと

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