ギャォォォォオン!
ついに魔王の城まで来てしまいましたね
え? どこに魔王の城があるのかって? もう、プロデューサーさんったら
このドーム球場っぽい建物が、魔王の城なんですよ
ドームが決戦の場なんて、アイドルものっぽくていいですよね
しかしプロデューサーさん、レベル上げをせずにここまで来るなんて
プロデューサーさんのリアルラック、恐るべしです
苦労せずに最終ダンジョンなんて、ゲーム好きの私としては複雑な気分ですけど…
魔王の城の前…なう…と
あ! プロデューサーさん!
小夜子ちゃん!
ディーライトの酒場以来ですね!
あら? その恰好は……?
はい、ストーリーの途中でクラスチェンジしてくれるおじいさんがいらっしゃいましたので
せっかくなので剣士になってみました
そ、そんなイベントが!
プロデューサーさんが途中のストーリーを飛ばしたから
大事なNPCに会えなかったじゃないですか~
私も他の上位クラスになりたかったです。大司祭とか大賢者とか…
でも小夜子ちゃん、その恰好で剣士なんですか?
はい、どんな衣装がよいのかわからず…
インターネットの質問サイトで伺ったところ、このような姿が強そうでよいと
またおかしなことを吹き込まれてますね…
ギャォォォォオン!
グルルルルッ!
キィキィキィッ!
あわわ! 魔王の城から凶悪そうな魔物が現れましたよ!
こ…これは…初期装備のままのプロデューサーさんではさすがに無理が!
こうなったら、頼れるのは小夜子ちゃんだけです!
戦闘の前にはたしか… こんな風に言えばよいと伺いました
あんたら、覚悟しいや!
これが、ラスボスの魔王!?
フハーッハッハッハ!
よくきたな 勇者プロデューサー!
わしが破滅と混沌とイロモノを統べし王
魔王ワンミリオンよ!
貴様のような者を失うのは惜しい。もしわしの仲間になれば、世界の半分を貴様にくれてやろう
半分ですって!?
それは魅力的すぎます…
でも今この魔王、たしか、イロモノって言ったような?
ワンミリオン!
私のプロデューサーさんは、そんな甘言には騙されません!
プロデューサーさん、里見さん、気をたしかに持ってください
小夜子ちゃん! その姿は!?
はい、魔王の城の隠し通路にこんなものがありましたので、着替えて参りました
これは、伝説の光の戦士の書!?
グヌヌヌ 愚か者どもめ
ならばわしに倒されるがよい!
貴様もイロモノアイドルに、プロデュースしてやろうぞ!
プロデューサーさんがイロモノ、なんと面白そうな展開に!?
里見さん!
じょ、冗談ですよ
プロデューサーさんもにらまないでください
この聖なる弓と矢を使えば、魔王を倒すことができます
そんなもの恐るるに足りんわ!
だが…この頭の宝石だけは狙うなよ…!
ふふふっ、馬脚を露わしましたね魔王! どうやらそこが弱点のようですよ
え? そうなのですか?
ムグッ…しまった…
なぜわかった
なんと!? 里見さん、まるでネットの識者の皆さんのようです
大賢者サトミと呼んでもいいですよ
プロデューサーさん、弓をひいてください! よく狙いを定めて…!
はぁぁぁぁっ!
ウ
ギ
ャ
ァ
ァ
ァ
ァ
ァ
ァ
ァ
!
やりました! ついに魔王を倒すことができました!
ふう、これで世界に平和が訪れますね…
さすがプロデューサーさんです
えーと…プロデューサーさんは特に何もしなかったような…
ディーライトのお城に帰りましょう。きっとお姫様がお待ちですよ
あ…そういえばまだ…
ええっ!? ミツル姫はまだ囚われたままなんですか!?
はい…
まだまだ冒険は続くのですね
でも、はしたないかも知れませんがわたくし、心が躍っております
プロデューサーさんともっと一緒にいられることに…
参りましょう、新たな冒険の旅へ!
ね、プロデューサーさん
FIN……?