帆立深雪

……茜の友達?

黒沼風子

後輩?

帆立深雪

てか、中学生?

鈴石茜

あ、ああこの人は……

野木ののか

酷い言われようじゃの~

鈴石茜

もう慣れてるって感じですか?

野木ののか

そりゃあ、散々言われよったからのぉ

野木ののか

まあよい

野木ののか

ちょっくら、茜を借りてゆくの

帆立深雪

え、ああ……

黒沼風子

…………?

そうして、彼女は私の手を引いて二人から離れた

鈴石茜

助かったといえば、助かったのだけど……

野木ののか

なんじゃ? 明らかに迷惑だという顔をしよって

鈴石茜

迷惑とは思ってないです。面倒だとは思っていますけど。

野木ののか

ほほう。なかなか面白いことを言う。

鈴石茜

そうですかー?

鈴石茜

てか、こんなところで何をしているんですか? 先輩

野木ののか

さあ。なんじゃろうなあ

野木ののか

迷子、という奴かもしれぬ

鈴石茜

にしては悠長ですね!?

先輩……野木ののか先輩。
彼女は元、生徒会副会長だ

野木ののか

ほほほ……

全く年上に見えない容姿と独特な喋り方、そしてこのマイペースさである意味有名である

鈴石茜

しっかりしてください……

野木ののか

うぬ、私はしっかりしておるぞ

野木ののか

大学生になって暇になったもんで、簿記検定と秘書検定の一級はとっといた

野木ののか

夏休み中に学芸員と司書の資格の勉強もしようと思ってのう

野木ののか

勿論、本命の教員免許の資格の勉強もちゃんとしとるが、教育実習は二年からしか行かれへんらしいから

鈴石茜

そう……こういう人なのだ……

鈴石茜

相変わらず勉強熱心ですねえ

野木ののか

ふむ……よく言われるが、決して私は勉強熱心ではないぞ

鈴石茜

そこまでしておいてそう言いますか。さては嫌味ですか。

野木ののか

私がやっておるのは勉強ではない。遊びじゃ

鈴石茜

嫌味ですか!

野木ののか

それよか、キャラモンのタイプや相性、技や必勝法を覚えることの方が勉強じゃのう

鈴石茜

ああ、はい、そうでしたね

野木ののか

この前は通信バトルで小学生五人をごぼう抜きしたぞよ

鈴石茜

それが自慢かどうかよく分かりませんが、小学生ってところはツッコミどころなんですかね!?

野木ののか

大学にはキャラモンのプレイヤーがおらんくて、困っとる

鈴石茜

そうですかー

野木ののか

そうじゃ、隊長を見んかったか?

鈴石茜

隊長……ですか

野木ののか

そうじゃ。私は地方の大学から帰ってきたばっかしでの、旧友と遊ぶつもりだったのじゃが

野木ののか

見事にはぐれてしもーた

鈴石茜

それはご愁傷さまです

野木ののか

まったくじゃ

鈴石茜

あれ……てか、隊長って確か……

野木ののか

それにしても茜はさっきから浮かない顔をしておるのお

鈴石茜

…………そうでした?

野木ののか

そうじゃ。あまりよくない旧友に絡まれていた……理由はそれだけじゃなさそうじゃ

鈴石茜

そうですね……

野木ののか

話を聞くくらいなら、できるぞよ

鈴石茜

そう……ですか

鈴石茜

でも、あんまり人に聞くことでも……

ああ、でも一つだけ。聞いてみたいことがある……

鈴石茜

先輩は、受験勉強と生徒会の活動、どうやって両立していました?

野木ののか

ふむ……

野木ののか

残念じゃが記憶にないのう

鈴石茜

えー

野木ののか

そもそも受験勉強ってなんじゃったかの?

鈴石茜

それはボケですか!?

野木ののか

冗談じゃ

野木ののか

ただ、私は教育大学に入って教員を目指したいという気持ちと生徒会として仕事を成功させたいという気持ちがどちらも同じくらい強くての

野木ののか

同じくらい、頑張ってみただけじゃ

野木ののか

頑張りたいって思ってしまったら、もう後にはひけないからの

鈴石茜

…………なるほど

野木ののか

まあ、受験に関する質問は隊長に聞いたほうがいいかもしれんぞよ

鈴石茜

そうですねえ

鈴石茜

で、今その隊長とはぐれているんでしたっけ?

野木ののか

そうじゃ

鈴石茜

そうじゃ、じゃないですよー

鈴石茜

まあ、実は私も迷子なんですけど

野木ののか

なんと! それはお揃いじゃの!

鈴石茜

そうですねー

鈴石茜

あまり嬉しくないお揃いですけど……

あ! いた!

ああ、ちょっと走らないでくださいよ!

野木ののか

あ!

鈴石茜

……!

菊田実

おいこらのろま! 勝手にどっか行くなといつも言っているだろう!

鈴石茜

隊長……

野木ののか

もう。私の名前はのろまじゃなくてののかじゃよ

菊田実

う、うるせえ、のろま

鈴石茜

うわあ、相変わらずだ

佐島亮

もう……置いていかないでくださいよ……

佐島亮

あ!

鈴石茜

佐島くん!

菊田実

ほら、俺様の勘は正しかっただろう?

鈴石茜

なんで佐島くんが隊長と一緒に……?

菊田実

こいつが一人でうろうろしてたもんでな、俺と同じ匂いを感じて声をかけたのさ

佐島亮

「そこの迷える子羊よ、貴様を正しい道へと導こうではないか」でしたっけ?

鈴石茜

うわー

佐島亮

僕が前年度の生徒会会長の顔を覚えていなければ逃げ出すところでした

佐島亮

いや知っていても逃げ出しそうになりました!

佐島亮

前年度の会長ってこんな人でしたっけ?

野木ののか

そうじゃよ~ 会長挨拶の時にはちゃんとしておるのにのう

菊田実

それは、周りがあまりにも煩いから……

鈴石茜

前年度はこの人を説得するのに苦労したんだよ~

佐島亮

僕、前年度の生徒会役員じゃなくて本当によかったです

鈴石茜

なら、前年度役員だった私を労わりなさい

佐島亮

世界が滅亡しても嫌です

鈴石茜

そんなに!?

佐島亮

冗談ですよ、何真に受けているんですか?

鈴石茜

はいはい、すみませんねー

鈴石茜

なんかこの感じ、少し安心するな

菊田実

にしても、そこののろま! 自分で誘っておいて勝手に迷子になるとはどういう了見だ

野木ののか

まあ、そういう日もあるぞよ

佐島亮

……この人もこの人で変わってますねえ

鈴石茜

まあね……

鈴石茜

そうだ……隊長は、生徒会の活動と受験勉強、どうやって両立していました?

菊田実

お? 俺様に質問か? いいだろう、答えてやる

鈴石茜

いや、そういう前ふりいいですから

菊田実

俺は…………

菊田実

い、いや……

菊田実

こ、答えはお前の心の中にあるぞ! 鈴石!

鈴石茜

意味わからないです!

菊田実

いや……その……

野木ののか

どうしたのじゃ? 隊長

佐島亮

そういえば、何で菊田先輩は隊長って呼ばれているんですか?

鈴石茜

ああ……なんか雰囲気的に

野木ののか

会長より隊長の方が相応しいと思ったのじゃ

佐島亮

はぁ……

菊田実

…………

野木ののか

にしても、もったいぶらんで素直に言えば良いのにのう

野木ののか

好きな子にカッコいいところを見せたかったのじゃろ?

菊田実

え……いや、まあ……

野木ののか

前にそう言っておったのを聞いたぞよ

鈴石茜

…………なるほど

鈴石茜

好きな子が受験勉強も生徒会活動もちゃんと両立しているのに、自分はそれをサボれないと思って頑張ったのですか?

菊田実

うるせえ

鈴石茜

それなのに好きな子に一向に好きだと伝えられず、変な勘違いもされ、挙句の果てには友達として花火大会に誘われるなんて……

鈴石茜

可哀想に

菊田実

おい、のろま、そろそろ花火始まるから移動するぞ

野木ののか

だから、私はのろまじゃなくて、ののかじゃよ

菊田実

うるせえ!

野木ののか

ほほほ

佐島亮

……前年度の生徒会ってかなり変わっていたんですね

鈴石茜

今の生徒会も十分に変わっているけどね

佐島亮

あ、僕たちもそろそろ二人と合流して花火見る準備しましょうか

鈴石茜

……そうだね

結局、二人っきりの時間は長くなかったな……

鈴石茜

でも、まあいっか

それに、生徒会を続ける理由も見つけた。

鈴石茜

好きな人に、中途半端に投げ出す姿なんて見せられないじゃん

考えてみれば、簡単なことだった

佐島亮

鈴石先輩?

鈴石茜

あ、今行く!

だからもうちょっと……見ていて欲しいな……なんてね

続く

野木ののか

そういえば、『そろ時』のお気に入り数がすごいことになっとるらしいのう

菊田実

ふっ 俺様のカリスマ力のお陰か

野木ののか

それはないと思うがのう。私たちはまだ出てきたばかりじゃ

菊田実

そんな冷静につっこまれると逆に返答に困るぜ

野木ののか

ルーズな更新でいつも申し訳ないのじゃが、これからも応援をよろしく頼むぞよ

菊田実

応援メッセージや好きなキャラとかをコメント欄に書いてもらえると嬉しいんだとよ

野木ののか

隊長、顔が怖いと人気がでないんじゃよー

菊田実

ど、どんな顔をしてようと俺はいつだって人気者の生徒会長なんだよ

野木ののか

元、じゃがのう

菊田実

う、うるせえ

これからもそろ時をよろしくお願いいたします!

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