鳥の声がする。
朝だ…。目覚めは良い。すっきりと起きられる。

こんなに清々しい朝は珍しい。

よぉし。
一日の始まりは元気よく。それでこそ夜まで元気でいられるってもんだ。ことの始めっていうのは大事なんだ。

景気付けに、ここは思いっきり勢いをつけて布団から起き上がってやろう!

秋月瑠璃

い、痛ーー!?

※起き上がった勢いで飛び出した髪が、ちょうど目にクリティカルヒットした模様。

なんだ、何かがオレの両目に飛び込んできやがった…。

ていうか声がおかしいような…?

秋月瑠璃

あーあー、
マイクテスト、マイクテスト。
ただいまマイクのテスト中です。
………

秋月瑠璃

……?

やはり何かがおかしい。
どーゆー事だ、耳がおかしいのか。
というかさっきから、視界に入ってくる赤いものは…

秋月瑠璃

……えっ。

…赤くて長いものを引っ張ったら、オレの頭皮が悲鳴をあげているだと。

つまり、これは髪の毛…?
あれか、目までおかしくなったか。
いやいや、それにしても一晩で伸びすぎだろう。

秋月瑠璃

か、鏡、鏡はどこだっけ…

ファンタジーで見たことのある展開が脳裏をよぎる。

いやいや、でもそれは。
現実に起こることじゃない。

そうだ、きっとドッキリだ。誰かが最先端の科学をこれでもかと駆使しまくって、こんな楽しいイタズラをしてるんだ。

秋月瑠璃

それなら、なかなか見どころのある奴だよ…。

…あった。手鏡だ。母さんが化粧をするときに使ってるやつだ。

秋月瑠璃

スリー、ツー、ワン、

秋月瑠璃

……ごー!!

…………。

…………………。

秋月瑠璃

ふふふ…

秋月瑠璃

ははははははは……

すぅぅーーーっ。

秋月瑠璃

なんじゃこりゃあぁぁぁぁああぁ

男子A

おーっす

男子B

はよっす

男子C

たっ、たたたた大変だーーー!!

男子A

な、なんだよハル、どうした?

男子C

ぜー、はー、ぜー、はー

男子B

落ち着け、温かいなめこ汁でも飲むか

男子C

それどころじゃないんだよ、
頭のおかしい美女がいるんだよ!!

男子A

な、なんだよそれ。
頭がおかしいって…

男子C

いーから!
ちょっとそこで隠れて待ち伏せしようぜ!!
ここを通ると思うんだ!

男子A

おいおい、覗き見なんて悪趣味な…

男子C

いいんだよ!!
色々と振り切れちゃっててすごい人なんだから!!
見たほうがいいって絶対!!

男子A

わ、分かったよ、全く何なんだ…。

男子B

ズズズズ…

男子B

なめこ汁うめえ

秋月瑠璃

うーむ……

一体どうしてこうなったのだろう。
制服まで用意されて、一体何なのだろう。

あと、母さんは、案の定めちゃくちゃ楽しそうだったな…。
絶対着せ替えされるぞこれは…

秋月瑠璃

謎だらけだし、先行き不安だぜ…

ま、学校は何とかなるか。
オレがオレだって分かってもらえさえすれば、
あとは楽しくやれるだろ。

秋月瑠璃

おし、いっちょ明るく頑張ってくか!

男子C

み、見たか、今の!

男子A

髪の毛が真っ赤…。
不似合いな男言葉…。
顔はやたら可愛い…。
独り言が多い…。

男子B

確かに、味わったことのないインパクトだな

男子C

だろ!?
しかもさっきはよく見てなかったけど、
あれって俺らと同じ学校の制服だよな!?

※明らかに違う制服に見えますがカンベンしてください

男子A

て、転校生ってことかな…。

男子C

あんなの絶対まともじゃねーよ。
見た目はやたら可愛いけど、
関わらない方がよさそうだよな…。

男子B

確実に何らかの何かをこじらせている

男子A

俺たちは平穏な学校生活を送ろう…。

男子C

そーそー、それがいいよな。

男子B

闇雲にフラグを立てるなよ

次回へ続く!

第一話 プロローグ、そしてフラグ

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