妹の凄まじい一撃で夢の世界から現実へと戻された…。
こら、お兄ぃー!!
ああ゛!?なんだよ!?まだ朝じゃないか!?
妹の凄まじい一撃で夢の世界から現実へと戻された…。
いや、普通は朝に起きるものでしょ。ニート生活で昼夜逆転してるから…。
思考が狂ってるのね!
妹に何も言い返す宛が俺には無かった。
お母さんが”あんなに高いイチゴ貰ったんだからお礼ぐらいしにいきなさい!”って言ってたわ。
私、学校で補習あるから私の分もお願いね!
はい、これ母さんから!
コンビニの袋に入った数個のあんまんを手渡された。
あんな高価なものの見返りがあんまん…。
まあ...いってきます。
いってらっしゃーい
ああ、そうだ...学生証も届けないとな...
忘れていた学生証のほうを先に返しに行くとするか...
雅臣は学生証に書かれている住所へと向かっていった。
ー数分後ー
俺は学生証の書いてある通りの住所に到着した…
。
えっ…ここって……。
俺の前にあったのは、昨日白イチゴをもらった『林邸』であった。
マジかよ…。ここん家の娘さんだったのかよ…。なんか…、うん。無理だよな……、ハハッ。
俺の恋愛感情は白紙になりつつあった。林さんにニートだとバレたら娘さんとの恋愛なんてまず無いだろう…。はぁ…本当に何やってんだか……。とりあえず、学生証とあんまん渡してさっさと帰ろう。
はい……って、あら!雅君じゃない!!どうしたの?
あ、その…昨日娘さんの美姫さんと会って…その時に落とした学生証と白イチゴのお礼のあんまんです…。
あらあら、わざわざありがとうね?あの子ったらまた落としたのね。全く…。ああ、ごめんなさいね?後、あんまんもありがとうね!美姫大好きなのよ!!美味しくいただくわね!
あの、美姫さんは…
美姫?美姫はね…。丁度犬の散歩に行くところなのよ!雅君も一緒にどぉ…
いえ!大丈夫です!!美姫さんにも宜しくお伝えください!!
ええ…分かったわ!お母さんにも遥ちゃんにも宜しくねぇ
はい、じゃあ、失礼します!!
俺は思わず駆け出してしまった…。何故か、彼女に会うのが怖くなってしまった……。
― 一方、林邸では ―
あれ、お母さん!それ、私の学生証!探してたの!何処にあったの!?
近所の雅君がね?届けてくれたのよ
じゃあ、お礼しに行かなきゃ!!
でも、雅君ね?なんか、急いでるみたいで、もう行っちゃったのよ…。
そうなの…。じゃあ、今晩お礼しに行くわ!丁度、遥ちゃんの勉強もあるし!
でも、早く会いたいなぁ
-津雲家にて-
俺はまた部屋に籠り、ベッドの上でぼんやりしていた。
…こんなニートな俺とお嬢様の彼女じゃ不釣り合いだ。
今の俺の感情は”無”に近かった。
しばらくして俺は…考えるのをやめ、目を閉じた
…もう夜か。
時計を見ると19時を回っている。
…俺はそんなに寝てしまっていたのか。
…んー…トイレ行くか。
俺は起き上がり、トイレへと向かった。
…ん?
トイレへ向かう途中、妹の部屋から何やら二人分の声が聞こえた。
…わかんないー。
一人は妹の遥の声だ。
…そして、もう一人の声は
…遥ちゃんこの問題が終われば、休憩して良いわよ
(んっ…!?まさか……)
…彼女の声だった。
胸の鼓動が早くなるのを感じる。
(…やっぱり美姫さんだ…どうしよう…このまま横切ったら、絶対に気づかれるよな…)
俺は自分の部屋へ戻ろうと、後ろを向いた。
しかし…
まーくん!!あなた、やっぱりまーくんだったのね!!
まーくん!?……………俺をその名前を知っているのは…もしかして、美姫さんって、みーちゃんか!?
第5話へ続く…