第二回「店員さんに話しかける」

もなみ部長

さて、それじゃ早速試奏しましょう!

しょうた

ちょ!ちょっと待ってください!
僕ギターまだ弾けませんよ?

もなみ部長

ああ、違う違う。
「試奏」って言っても、実際に曲を弾くんじゃなくて店のギターを何本か持たせてもらうのよ。

しょうた

なるほど。確かに、実際の重さとかもわかりますもんね。

もなみ部長

そうそう。
運命の相手にすぐ出会えるわけないでしょ?まずは一通り触らないとね。

しょうた

なるほど……。触ります……。

もなみ部長

OK。それじゃ店員さんを呼ぶわね。

店員さーん!

楽器屋店員

いらっしゃいませ。
なにをお探しでしょうか?
お客様。

しょうた

(ひそひそ)

い、いきなりヴィジュアル系の店員さんが来ましたね……。

もなみ部長

(ひそひそ)

そう!

でも、ここで肝心なのは「ドキドキしない事」よ。

しょうた

(ひそひそ)

え?でも、僕、他人と話すのは大の苦手なんですけど!?

もなみ部長

(ひそひそ)

大丈夫!
楽器を弾く人なんて大抵どこか様子がおかしいものよ♪

店員さんも同じよ!

だから全然気にしないで♪

しょうた

(ひそひそ)

はい♪ その一言で安心しました!

楽器屋店員

で?何をお探しかな?


俺は常に「究極の愛」を探してるんだけどね。まだ見つからないのさ…。

紅の涙は乾きにくく、刹那の想いは絶え間なく流れるものだね。

しょうた

(ひそひそ)

たいへんです!
この店員さん!
だいぶ変ですよ!

言ってる事がワケわかんないです!

もなみ部長

(ひそひそ)

全然大丈夫よ!
許容範囲内だわ!
この程度の変人はバンドマンには大勢いるわ。
むしろ、まだ序の口よ!

さぁ!
「ギターの試奏を希望している」と伝えて!

しょうた

(ひそひそ)

は。はい!

しょうた

えっと、これからギターを始めようかと思ってるんですけど、何本かギターを持たせて貰ってもいいでしょうか?

楽器屋店員

OK……。そういう事なら全然OKだよ。
ちょっと待っててね。

揺るぎない想いで待っててくれ……。

店員はギターを探しに行った。

しょうた

あー、良かった。
ホッとしましたよ。

もなみ部長

ね?簡単でしょ?
店員さんも優しいでしょ?

しょうた

楽器屋って「初心者なんて来るな!」みたいな雰囲気出てるんで、ちょっとビビりましたよ。

もなみ部長

違うわ!それは逆よ!

しょうた

え?

もなみ部長

お店にとって、一番利益になるのは「楽器初心者」なのよ。

しょうた

ど、どういう事ですか?
だって、上級者の方が高い楽器とか買いそうな気がしますけど……。

もなみ部長

それはギターに関してはそうかもしれないわ。
でもね。

アンプやエフェクターやDAWの機材なんかは上級者程ネットで買うのよ。

店には、使い心地を試す時にしか来ないわ。

しょうた

へぇ~……。
なんか、イヤですね。その買い方。

もなみ部長

それに比べて初心者は、アンプもエフェクターも弦もシールドもどれを選んでいいかわからないでしょ?

だから親切に説明してくれるお店で買うのが一番良いのよ。

つまり、お店にとっても初心者は「良い客」なの。

しょうた

えー。

でもそれだと騙されそうでこわいです。
変なギターとか売りつけられそうで……。

もなみ部長

そうね。確かに。

自分の考えを押し付ける店員もいるにはいるわ。
そういう最低のクズ店員のいう事は聞かなくても良いわ。

あなたには、時間をかけてゆっくり選べる権利があるのよ。

しょうた

そうか!

お金を払うのはボクだ。

だからじっくりゆっくり何本も試奏させてもらおうっと!

もなみ部長

その意気よ!

楽器屋店員

お待たせしました。
ギターを用意しましたので、

どうぞ、こちらへ。

しょうた

やったー!さっそくギターに触れるぞ!

もなみ部長

さて、店員さんのお手並み拝見といきましょうか。

つづく

第二回「店員さんに話しかける」

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