私は記者である。日ごろから仕事上で世話になっている小娘たちと焼肉でも食べに行こうと軽い気持ちで誘ったのだが…。
おい!小娘ども!
なんでしょうか?古川さん。
日ごろ世話になっているから、焼肉でも食べに行かないかね。
行きましょう!行きましょう!
じゃぁ2人で焼肉計画たててくれる?
美味いものが食いたいから、小旅行といこうじゃないか。あとは任せた。旅程が決まったら教えてくれたまえ~。
わかりましたー。
私は記者である。日ごろから仕事上で世話になっている小娘たちと焼肉でも食べに行こうと軽い気持ちで誘ったのだが…。
予算からしてそう遠くは行けまい。しかし美味いものが食いたいと指定したので、山形か松坂か、神戸か。
旅好きの私をよく知る二人だから、その程度は考えてくるだろう。
LINEが飛んできた。
3月5日と6日でいいですか?泊まりですけど。
あぁ、構わないよ。
米沢か?松坂か?神戸か?
どれも美味しい肉が食えることには違いないが、個人的には赤湯温泉にでも泊まって米沢牛というのが手頃かと考えていた。
10時30分までに成田空港に来てください。空港でチェックがあるのでパスポートを忘れずにお願いします。
ほぅ、LCCで関西かどこかへ飛ぶのか。しかし、成田空港の身分証明書チェックは終了したはずだが、まぁいいか。いつも鞄に入っているからそのまま持っていけばいい。
旅券はいつも持ち歩いているから、それを覚えていたのか?
わかったよ。で、どこに行くの?
内緒です!
こいつら、おちょくっとるのか。
まぁよい。どんな旅程を立てたのか、お手並み拝見だ。
京成リムジンバスで成田空港に到着
第2ターミナルで待っててくださいということだったので、集合して一緒に3タミに行くのかなぁなどと考えながら小娘たちが来るのを待った。
おはよーございまーす!
やぁ、おはよう。3タミ行くならシャトルバス乗ろうよ。
パスポート貸していただけますか?
いいけど、チェックはもう廃止されたんだよ。
じゃぁ、チェックインしてきまーす!
あ、おい!ちょっと待て!ここは国際線出発ロビーだぞ。
と言って、チェックインカウンター”S”に消えて行った。
ブリティッシュエアウェイズ団体カウンターと書いてある。まさかな。ロンドンには行けまい。
小娘たちはその奥のカウンターへ消えて行った。列の順番が回ってきたようで、手招きして呼んでいる。本当に国際線ならボーディングパス発券時に本人確認がある。
イースター航空のボーディングパスが発券された
え、ソウル行くの?
そうですよ。焼肉食べに行くんでしょ?
どこでもいいって言ったじゃないですかー。
言った。確かに言った。しかしなぁ。
もう、チェックインしてしまったので後戻りはできない。米沢に行くのも、松坂に行くのも、神戸に行くのも同じようなものか。
わいわい。
がやがや。
あのなぁ。
ボーイング737-800型機は対地速度約750kmで仁川を目指す
とか何とかしているうちにZE602便はソウル・仁川国際空港に着陸した。
とりあえず1万円を両替
1万円程度ならどうでもいいほどだが、10万円以上両替するなら市内の両替商の方がほんの少しお得。とりあえずの交通費だけ両替しておく。
市内にはA'REXで向かう。8000ウォンのプロモーション運賃
ところでさぁ、どこに行くの?
お昼ご飯を食べに行きましょう!
もう15時なんですけど。
まぁ、いいじゃないですか、お昼お昼!
マンドゥ
カルククス
これは、美味いな!
でしょう?
晩ご飯何にします?
はえーよ!
でも、あまり時間がないので決めておかないと。ねー?
そうそう。決めましょうよ。チーズにします?普通の焼き肉にします?
いま、ソウルではチーズがトレンドなんですって!
おまえら、誘導しとるな?
違いますよー。私たちはミーハーなんで流行が好きなんです!
やっぱり、チーズに行きたいんじゃないかよ!
てへぺろ。
じゃぁ、それでいいよ。
ということで、なんとなく空気がチーズに傾いたので、晩ご飯はチーズということになり、いったい焼肉はどこへ行ったのかとブツブツ言いながら、腹ごなしに明洞の街をぶらついた。
チーズが敷き詰められた鉄板にスペアリブのようなものが乗っていて、店員がハサミでパチパチは韓国のお約束。
ハサミとトングを器用に使い、スペアリブにチーズを巻き付けていく。
残りはセルフサービスで!
ということで、この日は終了。
小娘たちは、明洞で買い物するとかでそのまま置いてホテルに戻って休んだ。
明朝、朝食を取ろうとお店を探すもビジネス街の日曜日の朝。空いている店がない。
仕方がないので、ホテルをチェックアウトして無料送迎バスでソウル駅。そしてA'REXで仁川空港に急ぎ、空港でブランチを取ることにした。
先にチェックインしてボーディングパスを発券。
スンドウプチゲを注文。
ところで、焼肉を食べに来たわけだけどさぁ。
焼肉美味しかったよねぇ。
ねー。
どこが焼肉だよ!
というやり取りが飛行機の中でも続く。
スペアリブじゃねーかよ。
焼いてませんでした?
焼いてたよねー。
…。
焼肉といえないこともないが、わずかな旅費でソウル1泊してご飯を食べて帰るのもいとをかし。
焼肉かどうだったのかは別として、美味しい思い出とともにリムジンバスで帰路についた
(完)