ミュリエルが、階段を駆け下りると、少年とぶつかりそうになった。

ごめんなさい

相手の声に、はっと顔をあげた。ミュリエルと同じ髪色の少年が、深刻そうな面持ちで立っていた。少年は、ミュリエルを抜いて階段を上って行こうとした。

待って

ミュリエルは、呼び止めた。

あなた、エティエンヌ?

えっ

少年は驚いて振り返った。

どうして、僕を知っているの?

……

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