みなまで聞かずに、フェイールは聴診器を取り出してシャンスの診察を始めた。
ポケットから舌圧子を取り出すと、シャンスの口に入れて喉の奥を見る。
こんにちは!フェイールさんいますか?
サジェスさん!丁度連絡しようと思っていたんです
どうかしたんですか?
シャンスさんの体調が悪化したんです
えっ……………
彼女の火傷はほとんど治っていたし、今更発熱を引き起こすようなことはないと思っていたんですが…………
すぐにシャンスさんのところに連れて行って!
はあ…………はあ…………
容態は?
症状は軽い発熱ですが、今は伝染病が流行る時期と重なりますし、もしかしたらその前兆かもと……
みなまで聞かずに、フェイールは聴診器を取り出してシャンスの診察を始めた。
ポケットから舌圧子を取り出すと、シャンスの口に入れて喉の奥を見る。
…………サジェスさん
シャンスさんは?大丈夫なのか?
恐らくは、風邪だと思います。ただ、ひきはじめというのはかなり体が弱っている場合が多いんです。
それは知ってるけど………
待ってくれ。まさか…………
はい………………サジェスさん。私個人としては、多少ならシャンスさんの体調管理を鑑みても外出させるでしょう。しかし……………
医者として患者の体を守る立場としては………今夜のシャンスさんの外出を許可するわけにはいきません
そんな………………
なんとかならないかな?今夜しか時間がないんだ!
今夜しか?
先生がダメだと言ってるんですよ。今日は諦めてください
フェイールさん、お願いだよ!少しだけでいいから!
先生!
私からも……………お願いします
えっ?
シャンスさん?
楽しみに……してたんです。これくらいの熱、どうってことありません
シャンスさん……
しかし…………!
………………分かりました。許可します
えっ………?
本当かいっ?
先生っ!?
心配しないでください。サジェスさんなら決してシャンスさんを危険な状態にしたりしませんから
しかし…………
では、お願いしますね、サジェスさん
ありがとう、フェイールさん!
大丈夫?歩けるかい?
………………はい
良かった。じゃあ、行こうか。20分もかからないと思うけど、辛かったら言ってね
……………はい
……っ!?
魔法による人の気配を感じ、アルエットは顔を上げる。
今、確かに外部の人の来訪を知らせる風を感じた。
しかし、この場所を知っている人はごくわずかだし、みんな今日は忙しくてここに寄る余裕なんてないはずだ。
では、一体誰が…………
…………………
再び気配を伝える風。
ドアの向こうからは応答はない。
アルエットは恐る恐る、そっとベッドから出て玄関へと向かう。
……………誰?
サジェスの使いの者です
………サジェスの!?
サジェスの話だと、今頃はシャンスと一緒のはず。
なのに使いをよこすなんて、何かあったのだろうか。
アルエットは急いでドアを開ける――――
!!
サジェスの名前を出すだけで、簡単に出てくるとは
用心が足りないぞ、アルエット・コネッサンス
貴女は……………?
一緒に来てもらおうか。言うことを聞いてくれれば、悪いようにはしない
………………………
To be continued...