ハミンズ公爵家からの使いは訪れない。
ライオネスの行動は迅速だった。
生家――ザロイとの通信手段に彼は鳥を使っていた。
手紙を携えた鳥を放つと、三日で返信があった。
やはり手紙を携えた鳥が村に戻る。
ライオネスの生家からハミンズ公爵家に伝令を走らせる、というものだった。
それから半月が経っても、ハミンズ公爵家から音沙汰はなかった。
コーラルは沈黙を貫くつもりではいたのだ。
しかしずっと近くにいてくれたラトゥスだけには、と事態を説明したところ、どこに耳目があったのか、瞬く間に村中に広がり――ハミンズ公爵家への反発は高まっていた。
ラトゥスもひどく怒っている。
巻きこまないよう彼女は解雇となっていて、すでに侍女ではない。
ドゥルザ医師の元で家政婦として働いている。