これは、ある日の事…。



それは、突然だった。

ねぇ…。ちょっと…。

この成績は何なの?

貴方はもっとできる子よね??お母さんの言った通りにすれば、貴方はもっとできる子になるわ。今からお母さんと塾の見学に行きましょう??

これが初めての鎖。

母はこの日から私の事を名前で呼ぶことはなくなった。

母は昔、成績が優秀だったそうで、私にもそれを求めていた…。
私は、母と父のところには赤ちゃんの頃から一緒にいたが、血は繋がってはいない…。養子なのだ。

それを知ったその日から、私は何もかもが無気力になってしまい勉強もできなくなってしまってた。



この日を境に、母は週5回私に塾を行かさせるようになった。
しかし、私は塾でも成績が伸びず、塾の先生から母と面談がしたいと言われてしまった。


塾の先生

お母さん。お嬢さんを中学校受験させたいと言ってましたが、この成績だととても難しいと思います…。申し訳ないんですが、お嬢さんは授業には集中してるようには見えないですし…。

私の娘なんです。頑張ればできる子なんです。
この中学校は昔私が行こうとしていた場所で、娘にはぜひ入って欲しいんです!!

また鎖がついた…。

あのね、私はお母さんが昔出来なかったことを出来るようにするロボットとかじゃないんだよ??


それに私今通ってる学校の友達と一緒の学校に行きたいよ…。

今の友達が安心できるし…。
ましてや女の子だけの学校なんてやだよ…。


行きたくないよ…

行きたくないよ…

行きたくないよ…

辞めたい…。塾も、お受験も。


でも、そんなこと言えない…。言ったらまたあのときみたいに…

幼いころの私

まま…。あのね、ゆう…ね…。ピアノ辞めたい…。もう、むつかしいのやりたくないの…。他の子のほうが上手だし…。

ゆうちゃん、諦めたらダメよ!!
ピアノの先生だって、ちゃんと練習すればもっと上手になれるって言ってたでしょ??
私も練習ちゃんと見ていてあげるから!!
だから、頑張りましょう!!

幼いころの私

でも…、むつかしい……

その時だった。

幼いころの私

痛い!!ごめんなさい…。もう、わがまま言わないから…。もう叩かないで!!!

この時の私は痣だらけだった。

母は気に喰わない事があるとすぐに暴力に走る人だった。

しかし、母は頭がよく働くので児童相談所から目を付けられない程度に私を叩いた。



時には、自分の持っている傘で私のことを叩いたりもした。


ゆうちゃんは何でもできる子になるのよ??

お歌も、お勉強も、何でも…。
貴方にはそれほどの実力があるのよ。
お母さんを信じて。頑張りましょう!!

幼いころの私

うん…

あの頃よりは、私は叩かれる回数は少なくなった。


昔みたいになってほしくない…。


でも、お受験は辞めたい…。

どうすればいいの…。
塾の先生にも言えないし…。

もうやだ…。

もうお受験したくないよ…。


もう家にも帰りたくないよ…。
どうすればいいの…。

その時だった。

夢の番人

だったら、私と一緒に行きましょうよ??

あ、あなたは誰??
ていうより、なんで猫がしゃべってるの!?
ここは、どこ…??

夢の番人

私がしゃっべてるのはどうでもいいでしょ??

そんな事より

ここはね??

夢の番人

夢の世界にゃの!!

ゆ、夢の世界…??

夢の番人

そうにゃの!!

ここは、あにゃたが理想とする世界!!

あにゃたの嫌いなお勉強もお受験も、お母さんもない世界…。

それがあなたが望んだ世界…。


ようこそ、

夢の番人

ル・レーヴ モードゥへ!!

ようこそ…って言われてもぉ…

夢の番人

さ!!
まずは、あなたのここでの理想の姿を思って…

お、思うって言われても…

夢の番人

いいから、早くするのにゃ!

わ、わかったよ…。

うーん…

夢の番人

ふんふん…。そんにゃ感じね!!


じゃあ…行くわよ…

夢の番人

ディ・ペルフューション!!!

な、なにこれ…。
わ、私じゃないんだけど…

夢の番人

その姿がここの世界でのあにゃたの姿!!

さっきとはまるで別人ね…。

う…五月蠅いなあ。私だって恥ずかしいんだからね??

夢の番人

まぁ…。とりあえず……

夢の番人

貴方を歓迎するわ!!
リアン・シベラリオン!!

な、なにその…リアン・シベラリオンって??

夢の番人

なにって、たった今私がつけてあげた貴方の名前よ!!
素敵な名前でしょ??

夢の番人

さあ、行くのよ!

貴方だけの理想の世界へ…。

そこで、何が貴方が手にするのか…。
何を決断するのか、楽しみにしてるわ。

そして、何故かこのネコさんのせいで私の物語が始まるのであった…。

第一話 親の鎖

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