僕には唯一足りないものがある。それは、家事である。家事というものは、古来より女性が行うものとして定着してきたが、現代社会では男性も必須事項とされているのである。

とある学校の屋上では、
男子生徒二人の話が響いていた。

拓海、ちょっと聞いていいか?

拓海

ん?なに~

あのさ、家庭科の実技何点だった?

拓海

あ~、このまえのハンバーグだっけ~

そう!お前も一桁だよなっ?

俺は、こしょうを入れすぎた挙げ句にキャベツを洗剤で洗おうとしたりと多くの失点をした結果、3点だった。

拓海

は?80点代だけど~?

ナンデデキルノ?

拓海

カタコトになってるよ!

拓海

でも、優翔は家庭科以外は、一位二位を争ってるじゃん。

いままでは、よかったんだよ。でも、両親に家事全般ができるって言うことができないと...

拓海

できないと?

許嫁と同棲しなきゃいけなくなるんだよっ!!

俺の親は、子供のことが心配で心配で許婚と住ませて、生活をさせてようとしているのだ。とんだ親バカだなっ!
 

拓海

許嫁って...本当にいたんだなっ...

まあな...

父親が、この学校を設立した渡辺グループの会長、母親が学校長である俺には当然、許嫁がいるのである。

普通に許嫁と暮らすまではよしとしよう。でもな、それがクラスメートだったらどうする...?

拓海

まさか、本当に?


その頃、教室にいた許嫁といわれた一人の少女は、友人と昼食をとっていた。

クシュン!!

理奈

風邪でも引いたかなー?

蒼依

噂でもされてたりして?

理奈

まさかねー

蒼依

それで、理奈の親から言われたことって何なの?

理奈

そうそう、それがね...

私の父から昨日の夜に突然言われたこと。

理奈

私と同じクラスの渡辺くんって婚約してるんだって!!


ブッシァッ!?

蒼依

え、は?、本当?冗談だよね?

理奈

いや、本当なの!

蒼依

分かったわ...驚きすぎたけど落ち着くわよっー

理奈

話の続きなんだけど...

蒼依

そうね、話して!

理奈

来週から、同棲をしなさいって言われたの

蒼依

うん、同棲をするのねって、ど、ど、同棲!?

理奈

本当に急よね~

蒼依

いや、そこじゃないでしょ!

蒼依

同棲を高校2年でするのは、速すぎよっ!

理奈

まあ、渡辺くんとは小さい時に少しだけだけど話したことあるから、なんとかなるよ~

蒼依

あんたったら~楽観的すぎてついてけないわっー

理奈

それでね、今日の放課後に湘南原のメトールで会うことになってるの

メトールとは、神奈川県内に多数広がるコーヒーショップである。小田急の駅ナカに多い。

蒼依

婚約してたことに驚いたわー。男子が悲しむわねっ...

このクラス、2年1組内には、理奈ちゃんファンクラブというものができるくらい好かれているのである。

蒼依

今頃、渡辺は男子の恨みの対象になったわね...

蒼依

まあ、楽しんできなさいっ!お姉さんは、見守ってるよー

理奈

お姉さんっ!だいすきっ!

蒼依に抱きつく、理奈

蒼依

あぁ、幸せかも~

優翔と理奈の出会いも近い...

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