金町

やあやあ天文部諸君。元気しているかね?

新橋

あ、金町先輩いらっしゃい

蔵前

まだ雨水溜まってないですよ?それとも、他に何か?

金町

いつもアンジェリカ水を溜めてくれて感謝しているよ。
今日はその話なのだけれどね

蔵前

はぁ

葛西

アンジェリカ水ってなんですか?

新橋

いつもガラスの器に雨水溜めてるでしょ?それのこと

葛西

なるほどー

金町

アンジェリカ水はもう必要無くなったんだ。
今までありがとう

蔵前

必要無くなったって、どういう事ですか?

新橋

もしかして、賢者の石が出来上がった……とか?

金町

賢者の石を作れたら良かったのだけれどね、賢者の石は、もう、必要なくなったんだよ

新橋

え?それって、あの……

金町

どういう事かは、察しておくれ

蔵前

賢者の石はもう必要無いって、金町先輩はこれからどうするんですか?

金町

ん?そうだね。医学部に入れるように、勉学に励むよ。
もう焦らなくて良いからね

葛西

んんん……あんなに一生懸命やってたのに、何か勿体ない気はしますけど

金町

確かに、勿体ないかも知れない。
でも、今はちょっと錬金術から離れたいんだ

葛西

そうなんですか?

金町

詳しくは訊かないでおくれ。
そろそろお暇するよ。
僕は外で泣く

葛西

え?金町先輩、ほんとにどうしちゃったんです?

新橋

葛西君、金町先輩がなんで賢者の石を作ろうとしてたか、その話は聞いたよね?

葛西

はい。病気のお兄さんのためでしたっけ

蔵前

それが必要無くなった。
どういう意味だかわかるな?

葛西

ん~……お兄さんの病気が治った?

新橋

それなら良いんだけど、そういう風に見えた?

葛西

んんん……
あっ!あ~……そっかぁ……

蔵前

……しんどいなー……

新橋

あ、僕、ちょっと生物室行ってくる

蔵前

え?なんで?

新橋

ちょっと金町先輩と話してくる

新橋

金町先輩

金町

おや、新橋君。何の用だい?

新橋

先輩、これから受験勉強が大変だと思いますけど、良かったら偶に、天文部の天体観測に参加しませんか?

金町

天体観測?
そうだね、余り根を詰めるのも良くないし、偶に参加させて貰うよ

新橋

金町先輩は、今までの高校生活で何か思い出とか、有りますか?

金町

ふふっ。言われてみると、これと言ってないね。
錬金術の事ばかりだ

新橋

錬金術以外の思い出は必要無いですか?

金町

……やめておくれ。そんな事を訊かれたら、泣きたくなってしまう

新橋

あ……ごめんなさい

金町

でも、そうだね。これから少し、君たちに甘えさせて貰うよ

新橋

……はい

金町

僕に、天文と地学と文芸のことを、教えておくれ

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