ねえ知ってる……?













男の人はね……。










三十まで童貞だと……。
















妖精になるのよ……。














とある学校の、掃除の時間。
女子トイレで、高梨昴が一人で掃除をしている。
トイレ掃除は、普通、三人程度でやるものだ。
しかし、この女子トイレには昴の他には誰もいない。

……。

と、そこにトイレ掃除当番の五十嵐皐月がやってきた。

皐月

昴ちゃんやっほー

……。

皐月

偉いねぇ。一人で掃除して。

……皐月ちゃんも、掃除……。

皐月

何が悲しくてトイレ掃除なんかしなきゃいけないのよ!

……。

皐月

そんなことより、さくらは?

さくらちゃんは……来てない……。

皐月

えー、さくらいないとつまんないー。探してくるー。

……。

皐月、出ていく。
入れ替わりに井上さくらが駆け込んでくる。

さくら

かくまって!

!?

さくら、トイレの個室に駆け込み鍵をかける。
すると皐月が大急ぎで登場。

皐月

さあくらあああああああああああああああああああああああああああああああああ!

さくら

!?

皐月

昴ちゃん! さくら見なかった!?

さくら、個室の中で息を殺している。

さくら

……。

皐月

ねえさくら見なかった!?

……その中。

さくら

!?

昴、さくらがいる個室を教える。
皐月、ドアを激しく叩く。

皐月

そこ!? そこにいるのねさくら!

さくら

うわっ!?

皐月

うふふふふ逃げても無駄よ! さっさと出てきなさい!

さくら

ひええええ……

なにやら騒ぎ始めるさくらと皐月。
昴、ふとゴミ箱をみると、だいぶゴミがたまっている。
無言でゴミ捨て場まで向かう昴。

……。

皐月

でてきなさい! 山内先生がお待ちよ!

さくら

嫌よ無理よ何でよ! 
なんであたしが行かなきゃいけないのよ!

皐月

知らないわよ! あんた何やったのよ!

さくら

あ……あたしは何もやってないよ……。

皐月

うそつき! あんたアレよ、山内先生は、意識がモーローとしてる中、ずっとあんたの名前を呼んでるのよ!

さくら

えっ!? 先生そんなに重症なの!?

皐月

んーん、打撲。

さくら

………………まあ二階からだし、そんなものよね。

皐月

は?! 二階!?

さくら

……なんでもない。っていうかさぁ、なんで皐月に出て来いとか言われなきゃいけないの?

皐月

そりゃ私が先生に頼まれてるからよ

さくら

はあー? 先生に頼まれたからいう事聞くとか、あんたいつからそんな良い子になったの?

皐月

私はいつだっていい子よ。そして私の心はアドリア海のように広いの。

さくら

それ広いのか狭いのかよくわからない。
……この間なんか、山内の靴の中に銀杏(ぎんなん)詰め込んでたじゃん。

皐月

愛ゆえによ。

さくら

歪んだ愛だね。

皐月

否定はしない

皐月

アレよ、先生がね、さくら捕まえてきたら、昨日発売されたばっかりの、アラスィのライブDVD貸してくれるって言うから

さくら

は!?

皐月

そんなのいう事聞くしかないじゃない

さくら

えっ、山内って、男なのにジョニオタなの!?

皐月

男がアイドル好きで何がいけないのよ! 山内先生は生粋のジョニオタなのよ!

さくら

へ、へぇー。皐月と一緒だね。

皐月

はあ!? 私はジョニオタじゃないし! ただ犬野君が好きすぎてちょっと頭がおかしいだけよ! ねえ聞いて、今年のお正月ね、犬野君がメンバー全員にお年玉あげたんだって! もう何!? なんで犬野くんあんなにかわいいの!? ああもう犬野くんが好きすぎて生きるのがつらいああああああああああああああああああああああああああああああああああ

さくら

うるさい

皐月

はい

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