石川くんとの約束を守るため、彼が女の子と一緒にいても追いかけたい気持ちをグッと堪えた。
それにしてもいきなり服と下着を買うなんて、一体何を考えてくれてるんだろう……
もしかしてコ、コスプレとか!?やだぁ!石川くんなんの修行させるつもりなのぉおおお!!どうしよう!そんなの彼氏の前でもしたことないよ!!
我慢…我慢っと
石川くんとの約束を守るため、彼が女の子と一緒にいても追いかけたい気持ちをグッと堪えた。
それにしてもいきなり服と下着を買うなんて、一体何を考えてくれてるんだろう……
もしかしてコ、コスプレとか!?やだぁ!石川くんなんの修行させるつもりなのぉおおお!!どうしよう!そんなの彼氏の前でもしたことないよ!!
朱里うるさい。ご飯くらい静かに食べて。
へ?私声出してないでしょ?
顔がものすごくうるさい
とても厳しいつーちゃんは、お昼ご飯のカルボナーラをクルクルフォークに巻いて口へ運ぶ。
顔がうるさいって言われた……。だけど愛あるが故だよね。そう信じたい
なんてショックを隠していると
そういえば朱里。華奈から連絡ない?
つーちゃんの口から私の心の傷を疼かせる名前が。
おお…中々痛い。傷は癒えてないようだ。
か、華奈から連絡ないよー
まじ?講義のことで話してたのにいきなり既読つかなくなったんだよね。姿すら見てないし
そんなことを間に挟みながら黙々とお皿のカルボナーラの量を減らす彼女の言葉に、私は平然を装いながらも心臓が速くなっていた。
華奈泣いてたもんな。
そりゃ気まずいよな。
ゆっくり話もできてないし。
友情よりその場の流れを取ってしまったってことに後悔してくれてるのかな?理性が持たないくらい大ちゃんのこと好きなのかな…というか相性が良かったのかな。
そんなことを考えたけどこれ以上自分で傷をえぐるのは辛いと、目の前のタラスパに視線を移し食欲を掻き立てる。
どっちにしろどう頑張ったってあの二人と元には戻れないだろうし、私には石川くんという強い味方ができたのだから私自身が一から変わろう
なんて意気込んだ。
つーちゃんとそんな感じでお昼ご飯を食べてから、約束の時間まで講義を受ける。
早く時計の針よ進め。と願っていたらやっとこの時が来た。石川くんに連絡を入れようっと。
いまどこですか……
そんな文字と共にこの前無料でとったブタのスタンプもつけておいた。
しばらく画面とにらめっこしていると、早い段階で既読がついて
女の子たちに見つかったら色々厄介だから、初めてあった場所で待ってるね。
とすぐに返事がくる。
初めてあった場所はもうすでにいい思い出。あそこで石川くんを待ち伏せしてなかったらこれからの希望も見えないまま、大ちゃんの姿を見て病む毎日をおくっていたはず。
指一つで了解スタンプを押して
あ…そうだ。いまのうちにお財布の中身をちゃんと確認しておこう
と思い立った。
行ってからお金ありませんでしたー!なんて失礼がないようにね。うん。いける。
落としたら洒落にならないからカバンに財布をちゃんとしまってから足を進める私
途中で”トイレ行きたい”なんて恥ずかしい思いをしないように、お手洗いに寄ってから行こう。なんて思っていたら石川くんが誰かに捕まってるのを発見した。
え……誰だろう?男の子だよね?だとするとなんとも珍しい光景だ……。
石川くんの前にいる子は、遠目からみても顔が整ってるのがわかる。
石川くんとは違って可愛い系だぁ
2人並ぶと絵になるな……。類は友を呼ぶってこういうことですかね。
翔平先輩!!どこか行かれるんですか??
……君もつくづく俺を追い掛け回してるね。
だって僕翔平先輩をこの世界で一番に尊敬してますから。
聞こえる二人の会話。
可愛い男の子に激しく共感する。
わかる。わかるよ!その気持ち!!!もうこの際駆け寄って
同志よ!
と叫びたいくらいわかる!!
にこやかに微笑む男の子から視線を外した石川くんは、私の姿を捉えた。
そしていきなりニコリと笑う
え!!?!!?なんですか!!その顔は!!ハニカミ!?
先輩……?
チラッと師匠と同じように私に男の子の視線が向けられた。 そして彼はニコッと微笑むと軽く頭を下げる。
え…天使じゃん。なにあの2人。
神と天使かよ。
ほら……俺用事あるから。またね
はい!わかりました!今日も頑張ってくださいね!!
聞き分けのいい彼は、周りで二人の姿を凝視してた女の子達にも礼儀正しく会釈をしながら去っていった
……先輩って呼んでるということは年下か。
さすがは師匠……後輩にも憧れられるなんて!!
感動しているとカバンの中で音がなって、慌ててスマホを取りだしてロック画面にメッセージが表示されていた
石川翔平:先に行ってるね
え、と顔をあげたら目があって目配せ。
まじかぁああああああああああ!!
なにあの目配せ!!イケメンかよぉおおおお。
いや、訂正
イケメンめぇえええええ!!
興奮する私を置いて、寄ってくる女の子たちを散らしている石川くん
お手洗いに速攻でいこう。
そしてさっさと彼の元へいくぞ。
こんなに気合を入れてトイレに行ったのは、生まれて19年初めてのことであった。