…葵とユニットを組む前、私はどうしようもない暴れん坊で… 周り中に敬遠されていた
誰が敵なのか、誰が自分を傷つけるのか、そうなる前に自分が殴って逃げようか、そんなことばかり考えていた…
『拘束具』をつけてデビューするって知らされた時も、当然ながら私は怒って…
マネージャーのような立ち位置だったスタッフに、ひどいケガを追わせた。そいつは次の日から事務所に来なくなった…
…憎しみでしか人を見れなくて、周囲全部が敵だと思っていたあの頃…
…………………………
私はあいつに出会った……
……なんて弱そうな生き物だろう
黙らせるのは簡単そうだ……
そう思った…
………………し、……く
人に『よろしく』もまともに言えないようなヤツだったけど、それは私も似たようなものだ
……葵と交わした言葉の数は、最初の一ヶ月では、片手で足りるくらいなんじゃないかな
でも私はなぜか、そいつのことを仲間だと思って見ていた気がする
人として不完全で異質な私達は、身を寄せ合って生きていくしかなかったんだ、お互いの身を守るために……
…? 茜、どうしたの、ぼんやりして ……次の仕事、行こう
…ああ、ちょっと… 昔のことを思い出していたんだ
…私、変われた…よな?
葵とプロデューサーに会って…
…あ、茜っ!? 今なんて……
…な、なんでもねーよっ!! ひとりごと!
………………ほら、仕事行くぜ?