シラトリさん

あのー

アサヒナさん

……なんだ?

シラトリさん

突然ですが、僕が、石油王に見初められて、違う国に連れて行かれそうになったら、どうしますか?

アサヒナさん

何言ってんだ

シラトリさん

新年なので

アサヒナさん

そういうことなら達者で暮らせよ

シラトリさん

あっ冷たい

アサヒナさん

じゃあ、せめて、小指をもらう

シラトリさん

怖い

アサヒナさん

現実的に考えるなら、

アサヒナさん

(考え中)

アサヒナさん

すぐに連れ戻すのは無理だと思うから、

アサヒナさん

しばらくは我慢して、

アサヒナさん

そいつがあんたに飽きた頃に石油王からあんたを100万円で買う

シラトリさん

100万円って、石油王からしたらはした金なのでは……

アサヒナさん

それ以上かかるなら、父に相談する。

アサヒナさん

その後で、責任とって、両親に会ってもらう

アサヒナさん

兄貴にはもう会わなくていい

シラトリさん

あれっこれたとえ話ですよね?

アサヒナさん

小指のくだりはたとえ話じゃないぞ

シラトリさん

ええっ

アサヒナさん

なりゆきで、今からあんたの小指は、俺のものってことにするから

シラトリさん

どんななりゆきですか

アサヒナさん

この一連の流れだ

シラトリさん

あの、すみません、切るのは痛そうなので勘弁してください……

アサヒナさん

……切るつもりはない。不便だろうから。

アサヒナさん

ただし、左の小指は俺のもの。あんたは、それを、把握してりゃそれでいい。今まで通りに使えばいいし、俺からどうかしろって要望を出すつもりはない。

シラトリさん

は、はあ……。

シラトリさん

……

さっきから、ずっと手を見てるけどどうしたの?

シラトリさん

あ、いえ

にゃあ(撫でろ)

シラトリさん

はいはい(なでこなでこ)

シラトリさん

……

シラトリさん

手を使うと、雅人のことばかり考えてしまうなあ

彼の思惑通りだね

シラトリさん

!?

おわり

石油王でなくてもよかったこと

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