椎倉千歳

ああ、どうしよ、どうしよ~…
もうすぐライブが始まっちゃうのに~!

香谷里見

そこにいるのは『C-Class』の千歳ちゃん
そわそわして、どうしたんですか?
そろそろ本番が始まっちゃいますけど…

椎倉千歳

実は、前回のステージで壊れて修理に出したベースが、まだ届いてないんです…

椎倉千歳

もうすぐ本番なのに…! 不安で不安で、トカレフ乱射しちゃいそうです…!

香谷里見

…わっ、ち、千歳ちゃん、そのエアガンをしまってください! 警備員さんが通りかかったら、捕まっちゃいますよ!

香谷里見

…千歳ちゃん… ベースを取り上げると、エアガンを持ち出しちゃうなんて… おそろしい子です

香谷里見

会場で何か事件が起きてしまう前に… 千歳ちゃんのベース、早く届くといいですね

椎倉千歳

うう… そうですね…

椎倉千歳

…はぁ、それにしても、ベースが手元にないだけで、こんなに不安だなんて…

椎倉千歳

ももちゃんがやりたいって言って始めたアイドルバンド『C-Class』だけど… 今ではベースは大切な私の一部です

椎倉千歳

昔は部屋でエアガンの手入ればっかりしていたんですけど… …今はベースの手入ればっかりしています

椎倉千歳

はぁ… 早くステージでベースが弾きたいな、ももちゃんとお姉ちゃんと一緒に… そうじゃないと、私、私… このベレッタで…

香谷里見

ああっ、またエアガンを…!
誰か早く、千歳ちゃんを止めてあげてください~!

椎倉百花

こら、ちーちゃん!
またこんなところでエアガン出して! 無闇なテロは禁止って言ったでしょ

椎倉百花

はい、これちーちゃんのベースよ
本番までに間に合ってよかったわ~♪

椎倉千歳

ももちゃん、お姉ちゃん…! それ、私のベース… なんでふたりが…?

椎倉万季

ちーちゃんがあんまり不安そうにしてるから、業者の人に電話をかけて、近くの駅まで取りに行ってきたのよ

椎倉百花

ライブ会場の前の道路、ひどい渋滞だったみたい。だから届くのが遅くなってたのね。駅まで取りに行って正解だったわ

椎倉万季

ふふっ♪
ももちゃんが言い出したのよ。優しいんだから♪

椎倉百花

なっ…、何言ってるのよ、まーちゃん!
別に私は… ベースが届かないと私達の世界征服の計画もおじゃんだし…

椎倉千歳

ううっ、ありがとう…
ももちゃん、お姉ちゃん…!

香谷里見

ベース、本番までに届いてよかったですね。これで私たちも正々堂々戦えます。さあ、行きましょう!

椎倉千歳

うう、負けちゃった…ぐすん
やっぱり私のベースがダメダメだったから。ふ、ふたりに合わせる顔がないです~

椎倉千歳

えっ…?
こ、こんな私のベースが好きって言ってくれるんですか…?

椎倉千歳

う、ううう… 私、恥ずかしくて…
そんな人はもう、ベレッタの刑ですっ!!

椎倉百花

…わっ! こらっ、ちーちゃん! こんなところでエアガン乱射しないでよ。差し入れでもらったお菓子に穴が空いちゃったじゃない

椎倉千歳

ご、ごめんなさい、ももちゃ~ん…

香谷里見

はぁ~、姉妹グループって、なんだかいいですね。家族でアイドルなんて、ちょっと楽しそうです

香谷里見

でも、照れ隠しでエアガン乱射は、ちょっと過激すぎますね…

香谷里見

…あっ、プロデューサーさんも、今日の差し入れのお菓子を食べる時には、念のため、BB弾に気をつけて、食べてくださいね

~ つづく ~

44|第19章 ドリームツアー(2)

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