香谷里見

プロデューサーさん、こっちですよ!
この屋外ステージがプロデューサーさんのグループのデビューの場になるんですね♪

香谷里見

あまり大きいとは言えないステージですけど…
でも、道を歩くたくさんの人に歌とダンスを届けられそうです♪

…あなた達が今日の相手?
…今日デビューなの!?
ふ、ふーん…

…どおりで、なーんか地に足がついてないふわふわした感じなワケね

香谷里見

地に足がついてないって…!?
たしかにデビューがうれしくて、今日は朝からふわふわしちゃっていたかもしれません…

…あなた達、アイドルがどんなものか、ちゃんとわかってる?

今日デビューしたら、そのままとんとん拍子に売れちゃって、IGEまで一直線! なんて甘い夢見てるんじゃない?

香谷里見

ううっ… そりゃあ、そうなったらいいなあとは思ってますけど… プロデューサーさんだってそうですよね?

…あっそ
じゃあ、その甘い夢を見続けたまま、せいぜい頑張ってね

私のカンでは、あなた達みんな、一ヶ月後には、アイドルのステージからいなくなってるって思うけど

香谷里見

そんな…
そこまで言わなくたって…

私は たくさん見てきたのよ

アイドルっていう実態のない夢を追いかけて、いざ現実が理想と違っていると、すぐにしっぽを巻いて逃げ出す子達…

いくら現実が理想と違っていても、ステージから離れられない人だっているの

そういう人だけが、アイドルとしてステージに立ち続けられるのよ

香谷里見

うう…いきなりハードな話ですけど…
みんなならきっと大丈夫って、私は信じています

香谷里見

…あの、ところであなたは…?
テレビで顔を見たことがあるような…

晴海詩乃

うっ…
……は、晴海詩乃よ、はるみしの!
他の誰でもないわ、テレビに出るなんて夢のまた夢のB級アイドル!

香谷里見

そ、そうなんですか… 失礼しました

香谷里見

自分でB級なんて言っていても…
晴海詩乃ちゃん…
強敵になりそうな予感がします

晴海詩乃

ふ、ふーん…なかなかやるじゃない
少しは骨があるって、認めてあげてもいいかも

香谷里見

ふふっ、よかったですねプロデューサーさん♪
すぐに辞めそう… なんて、もう言わせません!

晴海詩乃

あなた達とはまた会える気がするわ
アイドルを続けていればいつかそのうちに…

香谷里見

はい!
その日までに、もっともっと腕をみがいておかなくちゃですね♪

~ つづく ~

2|第2章 はじまりのステージ

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