マリ、貴女の力を貸して

……?

おいおい、マリは魔力の全てを失ってるんだぜ?

知ってる

何をすればいいのかしら?

貴女は魔族の混血、そして拓様の話によると魔王は魔族に対して寛容だと

うん、門番の子たちがそう言ってたんだ

貴女の角を見せ、スパイとして潜入を

ちょ、危なくないかな!? それにここへ渡って来たとき、魔王軍に顔を見られてるんじゃ?

そう、だからこそのマリ

記憶に残らないから……?

 マリは呪いにより、十二時間以上姿を見てないと忘れられてしまうのだ。

だからこそ安全。男を連れ出して一人にしてくれさえすれば、おそらく私のほうが強い

なるほど。そこで仕留めるのか

そう。さらにその後十二時間経てば、マリの存在は魔王城でも忘れられている。つまり男は一人で失踪したという事実だけがのこる

そうか! 攻め込まれている事実すら悟らせない訳だな!

でも、マリが十二時間以上魔王城にいると、僕たちのほうが忘れちゃうんじゃ?

そう……タイムリミットは十二時間、失敗しても必ず逃げ出して戻って来て

大丈夫かな……魔法も全く使えないのに

やりますわ。私でも何かの役に立てるのであれば

マリさん……

拓雄もぎりぎりまでマリについていけ!

え? 僕?

そうね、最悪クレアさんと拓雄さんだけでも覚えてくださってるだけで、全然違いますわ

ええ!? そうだけど……ラファエル様……

にゃ(ここでも負け組になりたいのかしら?)

そうだよね、ごめん……僕も行くよ!

とりあえず、うちらもマリさんのこと、紙に書いて思い出せるようにしとこー!?

そうね、離さず持っていられるようロケットペンダントにでもしておきましょう

 こうして僕たちは、真実を書いた紙を、ロケットペンダントに入れて各々持つことにした。

マリは友達……っと

あらあら

嫌か?

嬉しいですわ

そうか! 俺もこうゆうの仲間っぽくて嬉しいぜ!

pagetop