金髪女

茶髪女

age嬢

アラフォー女

貴子

青山通り。


静かに走るパトカー。

窓の外を見る真。

仁王立ちの貴子とすれ違う。

次々に過去に詐欺した女たち。

それらは本人か見間違いかわからないが真は悟ったようにふと笑う。

大丈夫。許してほしいなんて思ってないからさ

花園為五郎

どうかした?

いえ…花園さん3つお願いがあります

花園為五郎

多いわね。言ってみて

一つ、この花を松嶋咲さんのお墓に供えてくれませんか?彼女の実家に咲いていた花なんです

花園為五郎

いいわ

もう一つ、頃合を見計らって花蓮を萩姫の湯…磐梯熱海の温泉に連れて行って欲しいんです

花園為五郎

温泉?

はい。昔、不治の病のお姫様があそこで療養して完治したらしいんです。万が一…万が一でもいいから花蓮にも…って警察の仕事じゃないですよね

花園為五郎

いいわよ、お友達の頼みですもの。ちょうど今年の有休何に使おうか迷ってたところだし

ありがとうございます。それで、最後なんですけど……トイレ寄ってもらっていいですか?

花園為五郎

えー、何ソレ!?がっくし

すいませんさっきから洩れそうで。我慢できそうにないです

花園為五郎

もー、仕方ないわねえ。草野ちゃん

草野

へーい

道路わきに停車するパトカー。

歩道。

花園が手を引いて真と歩道に出る。

あ、そうだ。すいません、そこの花屋さんでこれラッピングしてもらってもいいですかね?

花園為五郎

そうね。じゃあ、いっしょにお花屋さんでおトイレも借りましょうか

花屋に向かう二人。

花園さん

花園為五郎

何?

全てが終わったら今度一緒にお茶を…

真の背中から鈍い音。

振り返る花園。
ナイフを刺す女の手。

前のめりに倒れる真。
地面に散らばる花びらと鮮血。

徐々に目を閉じていく真。



どの女の刃かはわからない

無数の女の手が

自分の体を千切っていくような感覚



当然の報いだ



ただ

散らばる花の香りが

あの髪の匂いを思い出させた


終わり

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