平日の正午過ぎ。
営業で外回りをしていた私は昼食を取ろうと自宅へ向かう途中だった。
今日はたまたま自宅近くだったのだ。
公園の前を通るとき、見知った顔を見つけた私は声を掛けた。
平日の正午過ぎ。
営業で外回りをしていた私は昼食を取ろうと自宅へ向かう途中だった。
今日はたまたま自宅近くだったのだ。
公園の前を通るとき、見知った顔を見つけた私は声を掛けた。
あれ? ろり子ちゃんじゃないか。一人で何をしているの?
……………………
ん? どうして黙ってるんだい?
いつも元気なろり子ちゃんらしくない。
一人でいるのもおかしいし、何かあったのだろうか。
友達とケンカしちゃったのかな。
落ち込んでいるのかもしれない。
そういえば、確か……
ポケットにお菓子が入っていた。
外回りをしていると小腹がすくことがある。そういう時にかじったりするものなのだが。
ろり子ちゃんにあげよう。
おいしいものを食べれば元気が出るだろう。
ろり子ちゃん、お菓子あげるよ。
!
私はろり子ちゃんにクッキーをあげた。家に帰ったら補充すれば良いし、全部あげてしまおう。
……………………
食べていいんだよ。
……!
ろり子ちゃんはクッキーを食べ始めた。
たくさんあったクッキーは見るみるうちになくなっていった。
……………………
ろり子ちゃんはもの欲しそうに私を見ている。
もっと欲しいのかな?
しかし全て渡してしまったな。
家に帰ればあるが……ふむ
ごめん、ろり子ちゃん。
お菓子はもう持ってないんだ。
……っ
うちに帰ればあるんだけど、良かったら来るかい?
……!
ろり子ちゃんは喜んでいるようだ。
よし、うちに連れて行こう。
行こうか、ろり子ちゃん。
!
ろり子ちゃんと手を繋ぎ、私は歩き出した。
ちょっといいかな?
あ、はい。なんでしょう?
警察官だ。
見回りだろうか。仕事熱心なことだ。
最近、この辺りに不審者が出没するんですよ。
そうみたいですね。
おや? ご存知でしたか。
ご近所さんとの会話で出てきた話題だ。
婦人会で見回りをしようという話をしていることも知っていた。
ところで、その子とあなたの関係を聞いてもよろしいですか?
私とろり子ちゃんの関係ですか?
おや? 名前を知っているんですね。
それはまあ、親戚の子ですから。
親戚?
この子の母親と私はいとこなんですよ。
母親といとこ……ねぇ……
事実だった。
ろり子ちゃんは生まれたときから知っている。
この人はそう言っているけど、本当かい?
……………………
お巡りさんはろり子ちゃんに話しかけた。
……ん? おかしいぞ?
嫌な予感がする。
おかし……
お菓子?
おかしもらったの。
この人にかい?
おおおぉぉおおっと、その言い方はまずいなあ!
おうちにいって、たくさんもらうの。
なるほど。
ちょっと! いいですか! お巡りさん!
私は今この子と話しているんだ。まあ、待ちたまえ。
逃げるなよ?
勘違いしています! お巡りさん! 私は怪しい人間ではありませんよ!
???
この人にお菓子をもらって、これからこの人の家に行くところだったんだね?
…………(こくん)
この子はそう言っているが?
いや! 確かに事実ですよ! でもですね、知り合いなんです! 私たちは知り合いなんですよ!
はいはいはい、この子の母親と……なんだっけ? いとこ? でしたっけね。
そうです!
本当だとしても、割と他人だよね。
本当です! それに家も隣同士なんです!
へえ。
見たところ、あなたは営業の方のようですが、この辺りのお住まいで?
そうです! 今日はたまたま家の近くだったんです!
ほう。……たまたま、ね。
本当です! 信じてください!
はっはっは。
とりあえず詳しく話を聞きましょうか。
ちょっと行ったところに派出所がありますしね、そこでしっぽりと。
知ってますよ! ええ! 近所ですからね!
おかし……
なお、免許証を見せ、ろり子ちゃんの母親に電話することで事なきを得た。