プリンセペル

兄さん、ふと疑問に思ったのだが

シエルン

なんだ?

プリンセペル

我々は一体何語で話しているのだろうか

シエルン


ヘブライ語だろう

プリンセペル

確かに、私としてはヘブライ語を話しているつもりだし、兄さんがヘブライ語を話しているのもわかる。
しかしどうしても疑問になってしまったんだ

シエルン

何故だ

プリンセペル

先日日本の神と会ったのだが、そう言えば言語で困った事が無いなと思って。
彼らが話しているのはどう考えてもヘブライ語では無い。
しかし、こちらの話が通じるし向こうの話もわかる。
それが不思議なんだ

シエルン

なるほど、今まで疑問に思った事は無かったが、どこの地域の神々と話しても、言葉で困る事は無かったな

プリンセペル

人間達は言葉が変わると意思疎通が出来なくなるそうではないか。
それを聞いて疑問になってな

シエルン

ふむ。
もしかしたらの話ではあるが、お前は『言霊』と言う物を知っているか?

プリンセペル

なんだそれは

シエルン

言葉に宿る力のような物だ。
我々は人間に比べ、精神性の高い存在だ。
だから、言葉の響きでは無く言葉の力を直接伝えやすく、また感じやすいのでは無いだろうか

プリンセペル

なるほど。そう言う事か

シエルン

言葉には力が有るから、父なる神の名を口にする事は禁忌とされたのだろう

プリンセペル

言われてみれば、我等の神の名は他の神も口にしないな。
彼らは普段、父なる神をなんと呼んでいるのだろう……

シエルン

『名無し』とか『Anonymous』とか『四文字』とか適当に呼んで居るぞ

プリンセペル

よし、今度その現場に遭遇したら殴ろう

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