お嬢様、新しい書物です。
ふぅん。今度はどんなものをもってきたの?
普通のおとぎ話ですよ。
妖精と出会って一晩の夢をみた少年の話などです。
うーん。
そういうのも少し飽きてきたわね。
ですが冒険譚よりこういったほのぼの系が読みたいと先日。
言ったけれどそれは二月も前だし、一度私が希望をいうとそういう本ばっかりだから飽きちゃうのよ。
では次はどのようなものを?
んー。芯が強い女の子が様々な苦難や色恋にも揺れずに我が道を行くみたいな。
……それは少々難しゅうございますね。
少女が主人公となりますとどうしましても苦難はともかく色恋は主眼になりやすいので。
まあ、在ったらでいいわ。
よろしくねデーミック。
承りました。
なんとなればそういったものを書くものを育成いたします。
それは気合を入れすぎよ。
育ったころに私が読みたいとは限らないわ。
……もしかして私って溺愛物の主人公なのかしら。
美味なる食材扱いが溺愛ならそうでしょうね。
……食材とはねぇ、色気のない話だわ。