病室。
苦しそうな花蓮の手を握っている真。

もう限界が来ている。僕の嘘、花蓮を守ること、全てを独りで抱えきれない

あおい銀行。
入店する真。
カード整理番号を取って制服姿の咲を一瞬見る。
会釈する咲。
自分の番号札が呼ばれ、咲の向かいの席に座る真。
とっさにメモ書きを差し出す咲。

いらっしゃいませ。今回はどのようなご用件でしょうか?

はいあの…すいません。まずこの前話した…

遮るようにメモ書きを指差す咲。
その通りの文章を読み上げると

…銀行の個人融資の相談にきたんですけれども

かしこまりました。では、お名前お聞かせ願いますか?

はい…笹本勲と言います

笹本勲様。ではまずご利用の用途をお聞かせ願えますでしょうか?

えー、妹の手術費並びに長期の入院費です

なるほど。では当銀行におきましてはフリーローンが該当されますね。こちらのプランは200万円から最大3000万円までのご融資となっていまして年利は当銀行が定めますプライムレート+年0.3パーセントの変動年利となります

その後、僕は彼女のカンペの通り動き、セリフを読み上げていった。正直何がどう進んでいるのか、難しすぎて理解できなかった。わかったのは今までの自分の金勘定など子供騙しだったという事。そして僕に笹本勲という新しい名前が他人の手で追加されたという事だ


裏口のドアを開け出てくる咲。
先頭には内海がいる。

内海

お疲れ

…お疲れ様です

内海

久々に飯でもどう?俺の栄転祝いに…

結構です。お疲れ様です。

内海

釣れないなあ。あんなに愛し合っただろ?

お願い!これ以上私に気安く話しかけないで!

振り切って走って去る咲。
ほくそ笑む内海。

続く

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