11月3日、文化の日
10時00分
部室にて。

ひより

うぃーっす

ジョン

おはよう!ひよりちゃん!

ひより

えぇ、ジョン・・・何してるの?

ジョン

え?7次元との交信。

ひより

いい病院、紹介してあげようか?

ジョン

じょじょじょ冗談だって!
ゲームだよゲーム!

ひより

わかってるよ、それぐらい

ジョン

ならよし!
そうだ、ひよりは知ってるか?

ひより

え?何のこと?

ジョン

二口女の噂

ひより

それ知ってるよ?
あれでしょ?この学校に二口女がいるって奴

ジョン

ちぇっ、知ってたのかよ。
まぁいい、知っているなら話が早い

ジョン

まぁ、要約して話すとこうだ
「江戸時代にいた二口女の生き残りで、現在は人間社会に紛れ込みつつ生きている」
・・・こういった感じだな

ひより

なかなか興味深いわね・・・
で、どうやって---

ジャンヌ

話は!

ジル

聞かせて!

祐二

もらった!

ノラ

ぞー!

ジョン

お、お前ら!
いつの間に?!

天堂先生

俺達もいるぜ?

ハルカ

えへへ~

ツキヨ

ツッコミ役の私も忘れないでよ?

ひより

・・・

ひより

貴方達、少しは自重しなさい?

ジャンヌ

えー?いいじゃん、こういうサプライズも

ひより

サプライズって・・・

祐二

とにかく、今回は二口女の捕獲ですね?

ジョン

捕獲じゃない、捜索だ!

ジル

捜索かぁ・・・
ところでさ、二口女で思い出したんだけど・・・
この話知ってる?

ジョン

どんな話だ?
きかせてくれ!

ハルカ

私も聞きたい!

ノラ

私も聞きたいなぁ…

ジャンヌ

ボクも!

祐二

興味深いですね、僕も聞かせてもらいましょう・・・

ジル

な、なんか皆聞きたがってる・・・
わ、わかった、じゃあ聞いてて?

ひより

えぇ

ジル

「食わず女房」って話なんだけど・・・

天堂先生

食わず女房か・・・なんかどっかで聞いたことあるんだよなぁ…

ジル

日本に伝わる昔話で、妻のいない超ケチな男が
「飯も食べずに働いてくれるなら嫁にする」って願ったら、本当に何も食べずに働く女が望み通りやって来て嫁になった。

ツキヨ

何その男ブラック企業の社長かよ!

ジル

でもね、その女が来てからお米をはじめとする食糧が異常に減り始めて来て、男は「まさかあの女の仕業じゃね?」って思ったわけ。

天堂先生

あぁ、なんかそんな話だったなぁ・・・
で、そのあとどうなったんだ?

ジル

で、男は仕事に行くふりをして家を覗いてみたら女が大量のご飯を炊いて、頭についている口からそれを食べていたんだ!・・・もうビックリだよ!

ノラ

なにそれ!もう化け物じゃん!

ツキヨ

頭から食べ物食べるって時点で化け物でしょ

祐二

しかし口からじゃなくて、頭から食べるとは…
凄い女だ・・・

ジル

男はその女が人間ではないという理由で離婚を申し出た。
そしたら嫁がブチ切れて山姥の姿になってその男を置けにぶち込み連れ去ったんだ

ひより

うわ、もうそれ鬼嫁ってレベルじゃねーよ・・・もはやモンスターだよ

ツキヨ

いや頭から飯食ったり正体が山姥とかいう時点でヤンデレモンスターだから!

ジル

男は運よく逃走することに成功、そのあと菖蒲(しょうぶ)の草むらの中に息をひそめていたら、山姥はその菖蒲の臭いに負けてしまい逃げてしまったそうな・・・
これが食わず女房のあらすじだよ!
ちなみに一部Wikipediaより引用。

天堂先生

あぁなんかそんな話だったな…
なんか五月の節句の原型とか何とかだっけ?

ジャンヌ

小さい頃、その菖蒲の葉がなぜか山姥を消滅させたのかが気になってたなぁ…

ジョン

しょ、消滅ぅ!?

祐二

あぁ、確か話によっては消滅だけではなく、菖蒲の花の匂いでひるんだり、その葉の鋭さゆえに刺さったり等地域によって結末の種類はいろいろありますね。
ちなみに、菖蒲の葉には魔よけの効果があるそうですよ?

ジョン

なるほど、襲われそうになったら菖蒲の葉を使えばいいんだな?

ひより

でも、菖蒲ってもう咲いてないんじゃない?
というか、菖蒲が咲くのいつよ?

天堂先生

え?知らねぇよそんなの・・・
なぁ、ハルカ

ハルカ

わ・・・私に振られても・・・

ノラ

これじゃあ、いつ山姥に襲われても撃退できないじゃん!!

ひより

っていうか、いつの間にか二口女の話題から山姥に対抗する作戦会議になってるのよこれ・・・

ジョン

あ、そういえばそうだったな

ノラ

あ!誰か来たよ!

ひより

はい、怪異解決部部長の仕草ひよりです!

小鈴

あ・・・あの・・・
この前依頼書を出した、日南 小鈴です・・・

ひより

あぁ!この前依頼してきた小鈴ちゃんですか!
どうしたの?

ジョン

お、おい!ひより!ちょっとこっち来てくれ!

ひより

何よ?

ジョン

その・・・言いずらいんだが・・・件の二口女っていうの・・・彼女なんだ・・・うん

ひより

それ、本当?

ジャンヌ

わー!かわいぼうしかぶってる!!

ジル

ホントだ!

小鈴

あ・・・ちょっと・・・触らないでください・・・

ツキヨ

こらこら、やめなさいって

小鈴

あ、ちょっ・・・転ぶ・・・!

ジャンヌ

いててて・・・転んじゃったよ・・・

ジョン

おいおい、何やってるんだよ・・・?
大丈夫か?ジャンヌ

ジャンヌ

平気平気!ありがと、ジョン!

ジャンヌ

ジルは大丈夫?

ジル

じゃ・・・ジャンヌ・・・これ・・・見てよ・・・!!!

ジャンヌ

これ・・・って・・・!!

小鈴

・・・

小鈴

見 ま し た ね

ジル

ぎゃああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!
すみませんすみませんすみませーん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

ツキヨ

ちょっとこれヤバいんじゃないの!?

天堂先生

マジかよマジかよマジかよ!?!?!?!?!
おい!!誰か菖蒲もってこい!!

ジョン

菖蒲ぅ!?
それを探して持ってくればいいんだな!!わかった!マッハで持ってくる!!!!

ツキヨ

ちょっと待て!!!
こんな季節に菖蒲なんて生えてるか!?

小鈴

あっ!!驚かせてすみません!

ツキヨ

えっ・・・あっ・・・はい・・・

小鈴

別に、驚かせるつもりじゃなくて・・・ただこの子が勝手に帽子外したものなので・・・

ジル

←この子(怖すぎて硬直中)

ツキヨ

ジルくん・・・固まってるけど・・・

小鈴

さ・・・さっきは驚かしてごめんね?
ほら、私優しいわよ?

ジル

ガタガタガタガタガタガタガタ・・・・・・・・・

ひより

こりゃ全然だめね。
完全にマナーモード入っちゃってるわ

ジャンヌ

ほら、大丈夫だよ?
この人はやさしいから!

小鈴

ソウデスヨー(棒)
コワクナイデスヨー(棒)

ツキヨ

小鈴、まさかの棒読み!

ジル

怖いですよ!いきなり豹変するなんて!
いきなり豹変するなんて聞いてないですよ!
大事なことなので二回言っちゃいましたよ!!!

ツキヨ

ダメだ・・・全然効果が無い・・・
すっごいビビってるよこれ・・・

小鈴

いや、あれはね?まぁ・・・癖でやっちゃうから仕方がないのよ・・・えぇ・・・

天堂先生

あ、あれ癖なんだ・・・
結構迫力あったぞ?

祐二

・・・確か、ジル・ド・レが最初に食わず女房の話をしたはずですよね・・・?
当の本人がビビってるとは・・・

ジル

び、ビビってなんか・・・ない・・・ウゥ・・・

ジョン

すまない、菖蒲の葉が見つからなかった!
代わりにチェーンソー持ってきた!

ツキヨ

おいコイツマジで探してきたのかよ!!!
しかもその代わりがチェーンソーかよ!!!!
もうそれ魔除けじゃなくてただの神を殺しに行く人だよ!

ノラ

あ、そうだ!小鈴ちゃんはどんな依頼で来たの?

小鈴

その事なんですが・・・とりあえず、私の家に来てください

同日
10時30分
日南小鈴の家。

小鈴

ここが、私の家です

ジョン

おぉ、かなりきれいだな

ジャンヌ

僕もこう家に住みたい!

ハルカ

さて、依頼の件なんですけど・・・

祐二

もしかして、頭のそれをどうにかしてほしいって事ですか?

小鈴

いえ、違います。
というか頭の口はこういうデザインのカチューシャだって言えばなんとか誤魔化せます・・・ハイ。

ひより

ねぇ・・・もしかして依頼ってまさか・・・あの子の事じゃない?

ハルカ

あ、あの子??

モエ

←あの子

小鈴

あ、その子です!

天堂先生

い・・・依頼って・・・こ、この子供の事か!?っていうか何者なんだコイツ!

ハルカ

見た感じ、女の子ですね・・・
頭にかぶっているのは・・・卵の殻・・・で、いいのかな?

小鈴

実は依頼したのはその子に関してなんです。

小鈴

今朝、目覚めたら枕元に座ってたんです・・・
多分どっかから入ってきたのかな…?
でも『戸締りはちゃんとしたはず』なのに・・・

ひより

『戸締りはちゃんとしたはず』・・・
でも、朝起きると彼女が枕元にいた・・・
どういうこと?

祐二

なるほど、かなり興味深いですね・・・
ノラ、彼女にコンタクトを取ってみてくれ。

ノラ

うん!

ツキヨ

いや、祐二くん自分でやりなさいよ・・・

祐二

いや、もし何かあったら怖いから・・・
それに女性の方が警戒されなくていいじゃないですか・・・

ツキヨ

ま、まぁ・・・そうね、うん

ノラ

こんにちは、君はどこから来たn・・・

モエ

来るな!!!

ノラ

わっ!

モエ

あ・・・いや・・・そ・・・そういうつもりじゃ・・・

モエ

ご・・・ごご・・・ごめん・・・なさい・・・うぐ・・グスッ・・・うう

ノラ

あ、謝んなくていいんだよ?
驚かしちゃってごめんね?
だから泣かないでよ?ね?

モエ

で、でもぉ・・・・

天堂先生

なぁ・・・ちょっと話している所すまないが・・・
あんた、名前は?

モエ

なまえ?分からない・・・

天堂先生

名前が分からない?それって…

モエ

詳しく言うと・・・記憶が無いの・・・

ジョン

厳密に言えば、記憶喪失か・・・
こりゃ相当めんどくさいことになってきたな…

ノラ

そうだ!名前決めてあげようよ!

ツキヨ

名前かぁ・・・
emotion…エモーション…エモ…モエ…

ツキヨ

モエ!モエちゃんでどうかな?
ちょっとありきたりだけど・・・

小鈴

あ、それいいですね!
じゃあ、モエちゃんで決定!

モエ

うん、それでいいよ!
みんな、これからよろしくね!

ひより

なんか勝手に決まっちゃったけど・・・
いっか。

新しい仲間、「モエ」
彼女がこれからどんな成長を見せてくるのか・・・
それは神のみぞ知る。

お詫びとか・・・

作者

ども、作者です。

タカシ

ひよりの父、タカシです。

作者

本来は、正式版が公開されてからこちらの作品を公開する予定でしたが、あろうことか更新がかなり遅れてしまいました。

タカシ

気が付いたら、もう年末でした。

作者

最新話を心から待っていた皆さま、誠に申し訳ございませんでした。

タカシ

誠に申し訳ございません

作者

これからも、ちまちまとですが「こちら怪異解決部」を連載していきたいと思います。

タカシ

これからも、よろしくお願いいたします。

#4 気が付くと 正式版に なっていた

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