城ヶ崎さんの体から出た大量の血が、床へ赤い川を作る。



小森さんはくるみちゃんの体をぎゅっと、抱き締めてその惨状から目を背けさせようと必死だった。

…………

…………うっ

城ケ崎様がゴートとなったので、二度続いた許しがリセットされましたよ~♪
良かったですね~
さぁ、それではどうぞサイコロをἻ5

テミは満面の笑顔でそう言った。

あの、質問があるんですが……

室井さんがふいに口を開く。

どうしましたか? 室井様

もし、次のメシアになった人が断罪をして白木さんを罰した場合、その人は一回休み、そうすると残された人はどうなるんですか?

そうだ、もう人数も少ない。

今までのゲームルールでは進められなくなる。

はいはい、その場合は~……
その方が強制的にシープとなり、私が裁きを下すことになりま~す♪

えっ!?

そんなっ!

しかたありませんよ~
何事にもイレギュラーが存在しますから~

テミが断罪を……。


それは、恐らく確実な死に繋がるのではないだろうか……。

まぁ、私が断罪を下すとなれば~許される事は100パーセントないので~
恐らくその方はゴートとなりますが~……

テミはそう言って微笑んだ。

ちなみに、このゲームは最後の一人になった方が優勝という事になっておりますので、この場合一回休みになった方が優勝者となりゲームは終了で~す♪

じっ、じゃあ!
もし白木さんを許した場合は!?

その場合は、その方が次のシープになり残りの方が強制的にメシアです。
断罪を行いその方の罪を許さなければ断罪した方が優勝です。でも……

でも……?

罪を許すと許しが二度続く事になりますので、どなたかがランダムに死にま~す!

…………

…………

さぁ、それではどうぞサイコロを!

私と室井さんはサイコロを同時に投げた。

コロコロとサイコロは転がり、



そして──

7……

じゅっ、11……

室井さんが次のメシア……

ところが、次の瞬間──

部屋の中で赤いランプが明滅し、電子音がうるさく響き渡る。

はいは~い♪
今、不正行為が発覚しました~!

不正行為?

室井様~、サイコロを振ったあと器を揺らして動かしましたね~?

室井さんは、サイコロの振られた金の器に視線を落とす。
その体は僅かに震えていた。

私……そんな事……

ダメですよ~?
見てますから~、この部屋、このテーブル

そしてあなたたち全てを主催者が見てるんですよ~?

くっ……!!

やはり、どこかに監視カメラが仕掛けられている?


周囲をよく見てもその存在はわからないが、どこからかこのゲームの首謀者は見ているんだ。まるで娯楽でも楽しむかの様に……。

負けると思って、少し器に手を当てて良い目を出したでしょう~?

うっ…………!
だって……

室井さん……どうして……

だって、信用出来ないじゃない!
みんな、自分だけが助かりたいもの!!

室井さんはいきなり立ち上がり、テミの方へと走り出した。

なによっ!? なんなのよ!!
アンタ、かすみの回し者なんでしょ!!

そうして、テミの髪を掴み、椅子から立ち上がらせる。

痛いです! ヤメテ下さい!

うるさいっ!
うるさいっ!
うるさいっ!!

更に、テミの首を両手で締め始めた。

ヤ……メ……て…………

……くっ!!

室井さんは更にその手に力を入れて行く。

室井さん! ダメ! そんな事したら!

私はすぐに掛けより、テミから室井さんを引きはがそうとした。



その時──

いやに、重みのある音がした。





ふと、床を見ると、何かが転がっている。

えっ……?

そこには、テミの頭が転がっていたのだ。

なっ! いや、どうして!?

室井さんはその場にへたり込み、震える体で必死にテミから後ずさる。



私たちが呆然としていると、床に転がる頭がニヤリと笑った。

えっ!?

もう~
頭が取れちゃったじゃないですか~?
困りますよ~

いっ、いや!!

本当に困った方ですね~
よく、私の体を見て下さい

言われて私は即座にテミの胴体を確認する。

……空っぽ

ど、どうして!?

私はただの自動人形ですよ♪

人……形……

そうです~♪ 遠隔操作で動かされてる
ただの操り人形ですから~

つまり、どこからかこのゲームの主催者が、私たちを監視しながら、テミを動かしゲームを進めていたって事……?

それはさておき~室井様~
いけませんね~ズルをした上に
私に暴力を振るうなんて~……

うっ…………

残念ですが
室井様はここで
ゲームオーバーになりま~す!

そっ、そんなっ!? イヤっ!!

仕方ありませんよ~♪
さぁ、どんな風に殺されたいですか~?

いっ、イヤ! カ、カスミ!
そうよカスミなんでしょ!?
生きてたんでしょ!? 謝るから!
私が悪かったわ!!

室井さん?

……わかってるのよ、私……私なのよ
小森くん宛の手紙……張り付けたのは……

えっ!?

…………!?

私、ふうりとは別の中学に通っていて、その時友達だったの……カスミと……。
私もカスミも小森君とクラスが違ったから覚えていないとは思うけど……

……ゴメン

……いいの、私たち大人しくてクラスでも目立たない存在だったし……

室井さんの後ろに、映像が流れ始めた。

カスミ!

柚ちゃん!

そう、私たちはとても仲が良かった……

室井さんは映像を見つめ、そう呟いた。

でも……

ねぇ、カスミ、好きな人いる?

えっ……? 何よ突然……

いるんでしょ? 好きな人……

……うん
でも、どうしてわかったの?

だって、親友だもんわかるよ。

……で、誰なの?

小森くん……

えっ?

あっ、多分向こうは私の事なんて知りもしないだろうけど……

この前、教科書隠されて困っている時に一緒に探してくれたんだ……

へっ、へ~……そうなんだ

カスミの好きな人は……

私と同じ人だった……

そっか、応援するよ!!

そう、私はカスミの事を応援するフリをして、彼女に手紙を書かせたの。
思いを打ち明けるべきだって……けど……
本当は……

や、やっぱり手紙渡すの止めようかな……

何言ってるのよ!? ここまで来て

だって、私なんかが……

そう、カスミなんかが……許せない
私と同じ人を好きになるなんて……
いじめられっこでクラスでも嫌われていて、大人しくていつも人の後ろを金魚のフンみたいに

……嫌いだったのよ
でも、カスミといると私は優越感に浸れたの!
そんなヤツと仲良くしている私は、優しくて慈悲深い子だってみんなに思われたのよ!

それは、まるで熟した果物が潰れる様な音だった。



人一人分程の大きさの重厚な黒い鉄板が、寸分のズレもなく室井さんの頭上から落下したかと思うと、その体を一瞬で押し潰し、ドス黒い血と肉片が周囲にまき散らされた。

それと同時にテミの体はカクカク動きながら、自分の頭を拾い上げ器用にはめ込んだ。

室井 柚
その罪は……裏切り
でした~♪

…………

さぁ、それでは室井様が脱落しましたので
繰り上げで~次のメシアは島崎様です!

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