そこで気がつく。彼女は、嘘を見抜くことができるようだ。
さっき、シグレと話しているときも、嘘じゃないと言って彼女を信じていた。
魔法だろうか、それとも勘が鋭いのか、観察力があまりあるのか……とにかく。
え……あ
そこで気がつく。彼女は、嘘を見抜くことができるようだ。
さっき、シグレと話しているときも、嘘じゃないと言って彼女を信じていた。
魔法だろうか、それとも勘が鋭いのか、観察力があまりあるのか……とにかく。
ごめんなさい。すぐには戻りません
どうして?
言えません。おそらく、もう会えません
青い宝石は目を潤ませて、そう、と残念そうに微笑んだ。
魔法の香りがするあなたとは、もう少し長くお話がしたかった
俺もです。でも、時間がきてしまいました
仕方がないね
青い宝石が、手をさしのべてくる。
あなたに会えなかったら、私はここにいなかった。本当にありがとう
こちらこそ
小さな手は力強く俺の手を握りしめる。
……やっぱり、強い魔法の香りがする。
あなたは、気がついていないだけで、本当は強い魔力の持ち主のような気がするよ
魔法、使ってみたいですよ
青い宝石はくすりと笑って、俺の手を静かに離す。
あの二人には、嘘をついておく?
……ええ、もう戻れないって、逃げたとでも伝えてください
うまく言っておくね
お願いします
ばいばい
青い宝石が扉を開けて、静かに戻っていく。
素敵な未来が、彼らに訪れるといい。
俺はそう願って、目を閉じる。辺りが白く、光だす。
目を開ければ、いつもの場所。
そう思っていたのに、そこはいつもの小さな部屋ではなかった。
……あれ? ここどこ
辺りを見渡す。大きな宮殿のようだ。人はいない。音もしない。
サンザシもいない。
……サンザシ?
音が無いことよりも、周りに誰もいないことよりも、何よりもぎょっとしたのは、隣にサンザシがいないという事実だった。
サンザシ……いないの?
一歩踏み出して、足音がしないことにぎょっとする。
足元を見ると、少しだけだが浮いているような気がする。
どういうこと……?
ボーナストラック! ってことさ
うおわっ!
目の前に音もなく現れたのは、セイさんだった。にこにこと微笑みながら、俺の顔をのぞきこむ。
どうでしたか、さっきの世界は?