夕日が何とも悲しい雰囲気を醸し出すようになってきた11月。俺は、後輩の美琴に告白した。
お前に相談できないのは、好きな相手がお前だからだよ!!
!!…先輩…
夕日が何とも悲しい雰囲気を醸し出すようになってきた11月。俺は、後輩の美琴に告白した。
それまで、俺が美琴に何でも相談していたにも関わらず、俺が今度の恋の相手について、素性を明かさなかったことを一瞬にして理解し、頬を赤らめ、俺を見上げている。
美琴、俺と付き合ってくれるか?
…
美琴の目から、涙が溢れる。
…先輩、本当は、とってもとっても、私、辛かったんです。先輩の、好きな人のことを聞いて、アドバイスすることが。でも…でも、私は、先輩のことが大好きだから、少しでも力になりたい、そう思って…グスン…ヒック…
美琴は、それまで胸の奥にしまい込んでいた感情を、ここぞとばかりに俺にぶつけているようだった。
俺は、美琴を抱き寄せ、右手で頭を撫でた。
…美琴。もう泣かなくていい。それに、ゴメンな。お前の気持ちに気付いてやれなくて…
その言葉に、美琴も俺の背中に腕を回し、俺を抱きしめた。
先輩と、こんな風にするのを夢見てました…
これからは、ずっとこうしていられるんだ。美琴…
先輩…
二人の間を、秋の深さを象徴するかの如く黄色く染まった幾枚もの銀杏の葉が、秋風と共に通り抜ける。
そして、そんな二人を祝福するかのように、夜の帳が降り始めた西の空で、一番星が瞬いているのだった。