とある空き地で、草野球に興じる、少女たち。
女の子が野球というのも珍しいが、その事を除けば、ほほえましい光景だ。
青髪の少女が、今捕ったばかりのボールを、ピッチャーへと投げ返す。
草野球といっても、今空き地にいるのは、全部でたったの3人。
ピッチャーとバッター、そして、外野手が一人だ。
そんなに広い場所ではないため、思いっきりボールを打つということは出来ないが、それでも、気の知れた仲間同士で遊ぶというのは、楽しいものである。
ここで、彼女たちの名前を紹介しておこう。
まず、今バットを握っているのが、ジャイアント。
そして、マウンドとは名ばかりの、空き地の真ん中の、小さなふくらみの上に立つのが、スネーク。
最後に、その後方にミットを持って構える少女、彼女がアイだ。
変わった名前だと思うかもしれない。そう、これは彼女たちの本名ではない。コードネームである。
彼女たちは、とある組織に属しており、それぞれが固有の能力を持つ、エージェントなのである。
普段、同年代の少女たちが想像もしえないような、過酷な任務に臨む彼女たちにとって、この束の間の休日は、かけがえのないものであった。