虚をつかれた質問に、小山内 宗(おさない そう)はあんぐりと口をあける。
言い出した彼女、塚田 壬咲(つかだ みさき)は、依然として真剣な顔をしていた。
学校帰り、二人して家に帰る前に、駅前のクレープ屋に寄ることが週末前の楽しみになっていた。
今回も例に漏れず、ベンチに座ってクレープを一緒に食べていたわけだが、構えていなかった質問だけに、何を答えとしていいのかわからない。
どういった意図で質問をしたのか、宗には皆目検討がつかない。
だが、下手な返答をして彼女を悲しませてしまっては、「男が廃る」というものなのではないだろうか。
しばらくクレープを租借しながら考えていたが、彼が返す前に、「いやね、」と壬咲が口を出す。