我が家の家族構成は、僕、母、祖母の3人家族です。祖母は、糖尿病を患っており、二人で介護しながら生活しています。そんな生活の一場面を切り取って書いていきたいと思います。

けんた

ちょっと婆ちゃん。甘いもの食べすぎじゃないの?

よしえ

・・・

僕は、祖母の体を心配して、甘いものを控えたほうがいいのではないか?といつも口をすっぱくして言うのですが、そんな時、祖母は聞こえないふりをしてお菓子を食べ続けます。

さちこ

まぁまぁ。人生には楽しみもないとつまらないでしょ。少しくらい食べてもいいと思うよ。

けんた

いや、少しじゃないから。

祖母は、糖尿病であって、医師から食事制限をするように言われています。一般的には食事制限は、厳しいものだとの認識があると思います。

しかし我が家では、食事制限の基準がガバガバなのです。食事制限を始めたばかりの頃は、厳密に制限して生活していました。しかし、何年も経つと、どんどん基準がいい加減になっていきました。

今では週2回は、母が買ってきたお菓子を食べるようになりました。外食には月に1度くらい行くのですが、何も遠慮せずにもりもり食べます。

よしえ

おいしいねー

さちこ

そうねー

けんた

だから多いってば。俺はどうなっても知らんからな。ひどくなっても介護なんかしないからな。

さちこ

大丈夫よ。病院には定期健診してもらっているし、数値も安定しているのだから。

そうなのです。家では食事制限なんて実質していないようなものです。ご飯の量だけは決めた量を守っていますが、それ以外は適当。お菓子も、果物もガンガン食べています。しかし今の所は確かに数値は安定しているのです。

けんた

こんな適当でいいのか?じゃあ世間で言ってる食事制限って何なんだよ?医者の決めた適当な基準なのか?守らなくても全然問題ないじゃないか。

我が家のルールとして、母と僕が交代で料理をしています。そしていつも食後に、体重を量るのですが、僕の担当した時は、体重が減って、母が担当した時には、体重が増加する。これはいつものパターンとなりつつあります。

つまり、僕は厳しくて、母は甘いのです。医者からはもっと痩せろと言われているので、体重は減ったほうがいいのです。元々は肥満が原因で糖尿病になったのですから、痩せたほうがいいに決まってるんです。

さちこ

けんたと私で、厳しすぎず、甘すぎずでバランスは取れてると思うわ。

けんた

いやぁ、どう考えても、うちは甘すぎだと思うけどな。世間一般ではもっと厳しい食事制限してるよ。これで大丈夫なんだろうか?

さちこ

まずかったら数値として結果に出るでしょ。今の所、大丈夫だからこのやり方でいきましょう。

そんなわけで結局、我が家では、相変わらず食事制限を無視した好き放題の食事を続けています。しかし今の所、糖尿病の合併症は一つも出ていません。

糖尿病になってから約10年。もう86歳ですが、祖母は元気です。最近は、腎機能だけ少し数値が悪くなって来ていますが、それでもこのやり方でここまで来ました。

食事の楽しみと、体の健康を上手く天秤にかけながら、綱渡りで過ごしてきた10年でした。

食事制限をきっちりしていたら、腎機能の数値はもっと良かったんだろうか?今でも時々そう思います。しかし、規則をガチガチに守っていたら、食事の楽しみは失われていたかもしれません。長生きは出来ても、楽しみが少なくてはそれはかわいそうです。

よしえ

おだんご、おいしいねぇ。

いつか婆ちゃんが死んでしまって、なんでもっと食事制限をしっかりしなかったんだろうって後悔する時が来るかもしれません。

だけど、その時が来るのが、少しでも遅くなればいいなってそう思っています。

よしえ

カステラうまっ!

婆ちゃん喰いすぎぃ!

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