――――もし
もう一度選べるとしたら
俺はどちらを選ぶだろうか
――――もし
もう一度選べるとしたら
俺はどちらを選ぶだろうか
道に迷った・・・・
鬱蒼と生い茂る森の中で、ルシエドは一人途方に暮れていた。
まったく、レグルスが用があるっていうからわざわざ遠出してきたっていうのに、
あいつ道適当に教えたな?
半分は自分がかなりの方向音痴であるのが原因なのだが、そんなことは棚に上げて、友人であるレグルスが教えてくれた(と思われる)道を進む。
ルシエドは竜族である。
竜族は普段は険しい山の頂にある竜族の古都で生活しており、めったに外に出ることはない。
竜族の里はこの世界にいくつか存在するが、現在その数は徐々に少なくなってきている。
今日は別の里に住む友人の誘いで久しぶりに外の世界に出たのだ。
レグルスからは「簡単な道だから迷うことはないだろう」と言われていたのだが、ルシエドの方向音痴はその上を行っていたようだ。
「着いたら絶対文句を言ってやろう」とぶつぶつ言いながらルシエドは歩を進める。
その時だった、
急に視界が開け
目の前に広がったのは・・・
人間の町・・・・
それは人間の王都のようだった。
まずいな・・・
いつの間にこんなところまで降りてきてしまったのだろうと、ルシエドは内心焦りを感じる。
その理由は―――――
『絶対不可侵』
人間と竜族の間に結ばれた条約である。
人間は竜族の領土に入ることは許されず、またその逆も然り・・・
その昔、人間と竜族の間で大きな戦争が起こり、両者ともに甚大な被害と代償を払った。
その際、これ以上の悲劇を繰り返さないために、今後一切お互いに干渉しないことを人間と竜族との間で誓い、決められた条約だ。
とにかく、早くここを離れなきゃ・・・
ルシエドが急ぎ踵を返そうとしたその時――
痛っ!
空から何か固いものが頭上に落ちてきた。
何かと思い地面を確認すると、
くつ?
なぜ空から靴が?
訳が分からずにいると、
っごめんなさい!!
頭上から声が降ってきた・・・・
この時、運命の歯車は回りだしたのである―――
to be continued・・・・