『ふうな』を家に泊めることになり、うさらはまず準備があるからと彼女をまず自分の家へと帰らせていた

うさら

ふうー、ふうなが来るまでにまだ時間があるはず
先にやっておきますか

特にタイトルもないノートをめくると、そこにはうさらの字で『れいなたち』について書かれていた

うさら

今日は、特に激しい日だったなあ
えっと、一番最初は『ひいな』で次に『ふうな』、『みいな』ときて『よおな』
そこからバラバラに変わって何がなんだか

うさら

……『いつな』とか出てこないでしょうね
これ以上増えたらもうキツいんだけど……

うさら

えっと、別のれいなに気づくようになってからもう……三か月か

うさら

四人いることがわかってから、どうもそれ以上の発見はないのよねー

ひいな

うさらちゃん、おはよう

うさら

まずは昔からあたしが知っていた『れいな』であろう『ひいな』

ふうな

うさらさん、そんなに見つめられるとなんだかどきどきします

うさら

次に気づいたのが、丁寧な口調の気持ち悪いヤツ『ふうな』

みいな

うさら、帰りにコンビニでアイス食って帰ろうか

うさら

三人目が見た目に反して男っぽい『みいな』

よおな

うさら、鎮まりたまえなのー

うさら

四人目が「なのー」がもはや鳴き声の変なヤツ『よおな』

うさら

しかしなんであたししか気づかないんだろ……
会話の途中でいきなり変わったりするのに、誰も気づかないなんて

うさら

まあ、少し前のあたしもそうだったんだろうけど

うさら

そして本人も自分が四人いることに気づいてない
でも話の内容は引き継がれているから、『ふうな』でなくても泊りには来るのよねえ

その時、インターフォンが鳴った

うさら

来た来た
さて、誰でしょうかねー

おっ、あんまり変わらないな
そしてきれいにしてる

うさら

まあね

うさら

で、今は『みいな』か
助かるー。さっぱりした性格だから気楽で楽しいのよね

みいな

と思わせといて……

みいなが近くの棚を開ける

みいな

やっぱり
慌てて掃除して、ここに押し込んだんだな

うさら

勝手に開けないでよ

みいな

いいじゃないか
私とうさらの仲なんだし

うさら

それでもねえ……

みいな

確かに
いくら幼馴染でもいけなかったな、ごめん

みいな

じゃ、次はこっち開けるぞ

みいな

うわ、こっちにもまあ……

うさら

だーかーらー

みいな

今度は勝手じゃない
しっかり開ける宣言したし

うさら

そーうーじゃーなーくーてぇー

みいな

まったく
今度掃除するときは私も手伝ってあげるから
だらしないなあ、うさらは

うさら

よ、余計なお世話よ……

みいな

てかちょうどいい
今やろう

うさら

い、今から?

みいな

整理整頓のお手本というのを見せてやろう

みいな

じゃ、うさらは掃除機持ってきて
私はこの棚のものを出すから

うさら

ちょっ、ちょーッ!

みいな

うん、こうやってしまう場所を考えれば出すときも楽だろう?

うさら

た、確かに……

みいな

ま、これを維持するのもまたうさらには難しいかもしれないけどな
だからたまに見回りを兼ねて入らせてもらうぞ

うさら

え、ええー

みいな

さて、まだまだ終わってないぞ
しっかり全体的にやらないと

うさら

まだやるのー?

みいな

簡単に散らかってしまう何かがあるわけだからな

みいな

お次はこの棚だな

うさら

ちょっちょっ、そこはッ!

みいなが開けると、うさらの下着がずらっときれいに畳まれて収められていた
年頃の女の子らしいデザインが特徴的で、それが彼女の目に飛び込む

うさら

そこはさすがにいいでしょ

みいな

あ、ああ……ここはきれいにしてあるんだな、さすがに

うさら

当たり前でしょ
そう安いものじゃないんだし

みいな

ここは合格として別のとこ――

いえ、いい機会なので少し拝見します

うさら

んなッ!?

ブラジャーを手に取り、広げて眺め始める
可愛らしいピンクのものだった。うさらが最近お気に入りにしている

着けているときとはまた違った印象を抱きますね

えっとサイズは……

おっきい!

私よりッ!

ふうな

おっきい!

うさら

こ、こらーッ!

確信がありましたけど、数字にはもっとすごい力がありますね……

うさらさん、スタイルいいですもんね

うさら

それはどうも

寝る子は育つということですか?

うさら

知らないわよ
れいなだっていいじゃない

そんな、こんなによいおっぱいなど……

持ち合わせておりません

うさら

アホかあんたは

正直な感想です

うさら

正直がすべていいワケじゃないのよね

うさら

こんなタイミングで『ふうな』か
ま、本来止まる約束をしたのはふうなだしね

ふうな

一着くらい持って帰りたいところですけど……

うさら

他人の下着をなんに使う気よ

ふうな

何ってそれは……言わせないでください

うさら

帰る?

ふうな

冗談です、冗談ですから

うさら

まったく……

ふうな

では、掃除の続きをしましょう

うさら

あ、それはやるんだ……

ふうな

早く終わらせて宿題も終わらせて、遊びましょう

うさら

そだね

ふうな

よい感じですね

うさら

うーん、こうも使いやすくなるとは
ありがと

ふうな

いえ、では次の宿題へ
一つだけですし、すぐ終わりますよ

うさら

助かるー

ふうな


見せませんよ?

うさら

ええー

ふうな

教えはしますけど、見せはしません
でもどうしても見たいなら……

ふうな

ならぁ……

うさら

はいはい、頑張る、自分で頑張るから!

ふうな

そうですそうです
個人的には残念ですけど、頑張ってください

うさら

何されるかわからないからね……

ふうな

ヘンなことしませんよ
まだそういう関係でもないですし……

うさら

する気はあるのね

ふうな

でも、キスくらいなら今でも……

うさら

できるか!

ふうな

そんなに恥ずかしがらなくてもいいんですよ

うさら

恥ずかしいとかいう問題じゃないわッ!

うさら

ったく……
寝てる間にヘンなことしないでよ

ふうな

それは誓います。ご安心ください

うさら

まあ信じるけど……

ふうな

私なりにもちゃんとルールがあるんです

うさら

確かにふうなも約束を破るような子じゃない
根っこは全員『れいな』なんだよねー
こう、味付けが違う感じで

うさら

まあ、『ふうな』のこういうところは他の三人にはまったくないけど
おふざけが大好きなのよねー

うさら

さて、さっさと片付けますか

ふうな

はいッ

うさら

さて、そろそろ寝る時間だよ

ふうな

楽しかったです
うさらちゃん、相変わらずゲーム上手いんですね

うさら

インドア派だからねー

ふうな

インドア派でも上手くない人は多いですよ

うさら

照れますなあー

ふうな

照れてください

うさら

うむ
じゃ、ベッドでいい?
一緒で、狭くなるけど

ふうな

それはもちろん
ごめんなさい、狭くしてしまって

うさら

気にしない気にしない
幼馴染だし、あたしだって泊めてもらうときはそうだから

ふうな

うさらさんのそんなところ……どきどきします

うさら

床で寝る?
フローリングの床で

ふうな

冗談ってわかっているじゃないですか

うさら

ははは

ふうな

ふふふ

うさら

じゃ、電気消すね

ふうな

では、おやすみなさい

うさら

おやすみー

うさら

すうーすうー

うさら

ん?

うさら

妙に暑い……

うさら

んん?
腕握られてる、てか抱かれてる……

うさら

まったく、こんなことするのは『ふうな』しかいないね

うさら

ちょっとれいな……

!!

彼女が慌てて抱き着いていたうさらの腕を離す

うさら

ん、んん?

…………

うさら

この感じ、『ふうな』じゃない

うさら

あ、あのー

…………

うさら

ち、ちょっと暑いかなー
腕抱かれると

……抱いてないぞ

うさら

え、この感じって……まさか

うさらの腕など、抱くわけないだろう

うさら

えっ、えぇぇ……

寝るのに戻らせてもらう
おやすみ

うさら

絶対これ、『みいな』だよね……
い、意外だわー

うさら

ま、まあ忘れておこう
うん、無意識にやってしまって恥ずかしいだろうし

うさら

うんうん

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