『ふうな』を家に泊めることになり、うさらはまず準備があるからと彼女をまず自分の家へと帰らせていた
『ふうな』を家に泊めることになり、うさらはまず準備があるからと彼女をまず自分の家へと帰らせていた
ふうー、ふうなが来るまでにまだ時間があるはず
先にやっておきますか
特にタイトルもないノートをめくると、そこにはうさらの字で『れいなたち』について書かれていた
今日は、特に激しい日だったなあ
えっと、一番最初は『ひいな』で次に『ふうな』、『みいな』ときて『よおな』
そこからバラバラに変わって何がなんだか
……『いつな』とか出てこないでしょうね
これ以上増えたらもうキツいんだけど……
えっと、別のれいなに気づくようになってからもう……三か月か
四人いることがわかってから、どうもそれ以上の発見はないのよねー
うさらちゃん、おはよう
まずは昔からあたしが知っていた『れいな』であろう『ひいな』
うさらさん、そんなに見つめられるとなんだかどきどきします
次に気づいたのが、丁寧な口調の気持ち悪いヤツ『ふうな』
うさら、帰りにコンビニでアイス食って帰ろうか
三人目が見た目に反して男っぽい『みいな』
うさら、鎮まりたまえなのー
四人目が「なのー」がもはや鳴き声の変なヤツ『よおな』
しかしなんであたししか気づかないんだろ……
会話の途中でいきなり変わったりするのに、誰も気づかないなんて
まあ、少し前のあたしもそうだったんだろうけど
そして本人も自分が四人いることに気づいてない
でも話の内容は引き継がれているから、『ふうな』でなくても泊りには来るのよねえ
その時、インターフォンが鳴った
来た来た
さて、誰でしょうかねー
おっ、あんまり変わらないな
そしてきれいにしてる
まあね
で、今は『みいな』か
助かるー。さっぱりした性格だから気楽で楽しいのよね
と思わせといて……
みいなが近くの棚を開ける
やっぱり
慌てて掃除して、ここに押し込んだんだな
勝手に開けないでよ
いいじゃないか
私とうさらの仲なんだし
それでもねえ……
確かに
いくら幼馴染でもいけなかったな、ごめん
じゃ、次はこっち開けるぞ
うわ、こっちにもまあ……
だーかーらー
今度は勝手じゃない
しっかり開ける宣言したし
そーうーじゃーなーくーてぇー
まったく
今度掃除するときは私も手伝ってあげるから
だらしないなあ、うさらは
よ、余計なお世話よ……
てかちょうどいい
今やろう
い、今から?
整理整頓のお手本というのを見せてやろう
じゃ、うさらは掃除機持ってきて
私はこの棚のものを出すから
ちょっ、ちょーッ!
うん、こうやってしまう場所を考えれば出すときも楽だろう?
た、確かに……
ま、これを維持するのもまたうさらには難しいかもしれないけどな
だからたまに見回りを兼ねて入らせてもらうぞ
え、ええー
さて、まだまだ終わってないぞ
しっかり全体的にやらないと
まだやるのー?
簡単に散らかってしまう何かがあるわけだからな
お次はこの棚だな
ちょっちょっ、そこはッ!
みいなが開けると、うさらの下着がずらっときれいに畳まれて収められていた
年頃の女の子らしいデザインが特徴的で、それが彼女の目に飛び込む
そこはさすがにいいでしょ
あ、ああ……ここはきれいにしてあるんだな、さすがに
当たり前でしょ
そう安いものじゃないんだし
ここは合格として別のとこ――
いえ、いい機会なので少し拝見します
んなッ!?
ブラジャーを手に取り、広げて眺め始める
可愛らしいピンクのものだった。うさらが最近お気に入りにしている
着けているときとはまた違った印象を抱きますね
えっとサイズは……
おっきい!
私よりッ!
おっきい!
こ、こらーッ!
確信がありましたけど、数字にはもっとすごい力がありますね……
うさらさん、スタイルいいですもんね
それはどうも
寝る子は育つということですか?
知らないわよ
れいなだっていいじゃない
そんな、こんなによいおっぱいなど……
持ち合わせておりません
アホかあんたは
正直な感想です
正直がすべていいワケじゃないのよね
こんなタイミングで『ふうな』か
ま、本来止まる約束をしたのはふうなだしね
一着くらい持って帰りたいところですけど……
他人の下着をなんに使う気よ
何ってそれは……言わせないでください
帰る?
冗談です、冗談ですから
まったく……
では、掃除の続きをしましょう
あ、それはやるんだ……
早く終わらせて宿題も終わらせて、遊びましょう
そだね
よい感じですね
うーん、こうも使いやすくなるとは
ありがと
いえ、では次の宿題へ
一つだけですし、すぐ終わりますよ
助かるー
?
見せませんよ?
ええー
教えはしますけど、見せはしません
でもどうしても見たいなら……
ならぁ……
はいはい、頑張る、自分で頑張るから!
そうですそうです
個人的には残念ですけど、頑張ってください
何されるかわからないからね……
ヘンなことしませんよ
まだそういう関係でもないですし……
する気はあるのね
でも、キスくらいなら今でも……
できるか!
そんなに恥ずかしがらなくてもいいんですよ
恥ずかしいとかいう問題じゃないわッ!
ったく……
寝てる間にヘンなことしないでよ
それは誓います。ご安心ください
まあ信じるけど……
私なりにもちゃんとルールがあるんです
確かにふうなも約束を破るような子じゃない
根っこは全員『れいな』なんだよねー
こう、味付けが違う感じで
まあ、『ふうな』のこういうところは他の三人にはまったくないけど
おふざけが大好きなのよねー
さて、さっさと片付けますか
はいッ
さて、そろそろ寝る時間だよ
楽しかったです
うさらちゃん、相変わらずゲーム上手いんですね
インドア派だからねー
インドア派でも上手くない人は多いですよ
照れますなあー
照れてください
うむ
じゃ、ベッドでいい?
一緒で、狭くなるけど
それはもちろん
ごめんなさい、狭くしてしまって
気にしない気にしない
幼馴染だし、あたしだって泊めてもらうときはそうだから
うさらさんのそんなところ……どきどきします
床で寝る?
フローリングの床で
冗談ってわかっているじゃないですか
ははは
ふふふ
じゃ、電気消すね
では、おやすみなさい
おやすみー
すうーすうー
ん?
妙に暑い……
んん?
腕握られてる、てか抱かれてる……
まったく、こんなことするのは『ふうな』しかいないね
ちょっとれいな……
!!
彼女が慌てて抱き着いていたうさらの腕を離す
ん、んん?
…………
この感じ、『ふうな』じゃない
あ、あのー
…………
ち、ちょっと暑いかなー
腕抱かれると
……抱いてないぞ
え、この感じって……まさか
うさらの腕など、抱くわけないだろう
えっ、えぇぇ……
寝るのに戻らせてもらう
おやすみ
絶対これ、『みいな』だよね……
い、意外だわー
ま、まあ忘れておこう
うん、無意識にやってしまって恥ずかしいだろうし
うんうん