おばあちゃん
僕は、亡くなったおばあちゃんに、よく
あんた、お化けとか見たことない?
という風に言われていました。
僕は一度も見たことがなかったので、
いやいや、ないよ
という風に言っていたんですけど。
何故、そんなことを聞かれるのか・・・、というのも、
僕の家は、もともと霊感の強い家系らしくて。
実際、そのおばあちゃんも霊感が強くて、何回か、霊的なものを見たことがあったんです。
これは、そのおばあちゃんから聞いた、僕の親父が子どもだったときの話です。
昔、おばあちゃんが、ちっちゃかったお父さんを連れて、夜、銭湯に行ったことがあったみたいなんです。
当時ですから、街灯とかもそんなに無くて、真っ暗な道を歩いて行かないといけなかった様なんですね。
手を繋いで歩いてたんですけど、急にゾクッとして、これ以上先は行くの嫌だなっていう処があったみたいなんです。
それはどういう処かというと、両脇に畑がって、その真ん中に道が通ってるんだけど、
此処を通るのは、ちょっと嫌だわ。
絶対に通らない方がいい。
何か嫌な感じがするから通らない方がいい・・・
っておばあちゃんは思ったらしくて。
それで、パッて見たら、
真っ暗で何も見えないところで、
おばあさんが何人かで畑仕事していたんですよ。
それを見て、僕のおばあちゃんは、
あ、これは大変なものを見てしまった・・・
と思ったみたいです。
それが霊だっていうのは、すぐわかったんですね。
怖いな・・・
って思って。
でも、親父がちっちゃかったんで、怖がらせてはいけないと思って、
ちょっと、遠回りしようか?
って言ったんですね。
そうしたら、親父が、畑の方を指差して、
あの人たち、何してんの?
って言ったんです。
子どもなのに、親父も見えていたみたいなんです。
それでおばあちゃんもびっくりして、
あんた、アレ、見えてるの?
と言って、でも、正直に話そうと思って、
アレはお化けだから、もしも声を掛けられても、絶対に返事したらだめだからね
って言ったんです。
そしたら、うちの親父が、
分かった。
じゃあお母さん。
?
この人もそうなの?
って、隣りを指したんです。