夢かどうか確かめるには痛みを感じるのが一番って、友達のゆう君が言ってました。
夢かどうか確かめるには痛みを感じるのが一番って、友達のゆう君が言ってました。
なのでそれを実行してみようと思います。
頬を思い切り抓るのが一番らしいです。
ちょっと怖いけど、夢だから痛くないはず。
せーっの。
いひゃい
痛いです。
……た、偶々だよね!
わんもあたいむ。
もう一度抓ります。
痛いー……
やっぱり痛いです。
って事は、夢じゃない?
山の中なのか森なのかは分かりませんが、この事態は異常です。
さっきまでお布団にいたはずなのに、知らない場所に来てしまいました。
もしかして、妖精さんの仕業?
私が悪い子だから、妖精さんが森に連れ去られてしまったのでしょうか。
お母さんの口紅を興味本位で使ったのがいけなかったのかな?
お父さんが隠し持っていた綺麗な女の人の写真をお母さんに見せたのがいけなかったのかな?
口紅使った事がばれないように近くにあったお父さんのワイシャツで口を拭ったのが悪かったのかもしれない。
私って結構悪い子です。
うう……ごめんなさい。
お父さぁん……お母さぁん……
二人を呼ぶ声が思わず口から洩れてしまいます。
呼べば助けに来てくれるでしょうか。
望みはかなり薄いです。
ここが妖精の国だとすれば、悪い子でないお父さんとお母さんがいるわけがありません。
うう……私が悪い子だから。
うぇ……
うぇええんっ!!
お父さぁん!! お母さぁん!! どこにいるのぉ……っ! 怖いよぉ……っ!
わんわんと泣きじゃくります。
泣いた所で何も解決しないと分かってはいても、泣いてしまうのが子供の性です。
こんな所に一人ぼっち。
誰もいない。
もしかして、大人になるまでこのままここで?
お風呂もご飯も何も無い。
大人になる前に、死んでしまうかもしれない。
恐怖心が私の心を埋め尽くしていました。
ふぇ?
今、向こうの木の方で草が揺れた気がします。
もしかして、妖精さん?