T先輩と電車

前編















T先輩

よかったらコレ好きに使っていいよ

当時英文科の大学2年生で映画サークル所属だった自分が文科系サークルの共同部室で期末テストの勉強をしていると、
隣の演劇サークルの部長で4年生のT先輩がそう言って自分に英語の参考書をくれました。




そこまで交流のある先輩ではなかったのでちょっと意外でしたが、
貧乏学生だった自分はありがたく頂くことにしました。












その数週間後。

無事テストが終わり、部室でボーっとしていると



















Tさんの突然の訃報を知らされました。















あまりに突然の訃報にサークル団体のみんなは動揺していました。


学生のお通夜は任意参加という事でしたが、自分は参考書のご恩もあったので参道しに行く事にしました。




















会場は大学から片道1時間以上は裕にあるTさんの地元、C県C市の駅近くの斎場。


会場に着くまでのちょっとした電車旅の中で、自分は映画サークルの先輩で、生前にT先輩とも親交のあったR先輩と相席しました。




R先輩

アイツこんな遠くから毎日通ってたんだなあ。偉いよなあ

自分

そうですねえ。

R先輩は一瞬下を向いてから今度は徐にこう言った。

R先輩

…実はTは自殺なんかじゃない。殺されたようなもんなんだ

自分

え?


そもそも全く今回の突然死の経緯を全く知らない自分が、まさか“自殺”や“殺された”なんていう物騒な単語を聞いて面を食らっていると、
Nさんが堰を切ったかのように説明してくれました。
























どうやらTさんの死因はある一件を苦にした電車内への飛び降り自殺らしいのです。




続く

T先輩と電車 前編

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