家庭環境

 あたしは今お兄ちゃんと二人で暮らしています。
 物心ついたときからそうで、昔はお兄ちゃんが家事をやってくれていましたが、今はあたしの仕事です。

ねぇ、あーにぃ

 フライパンを回しつつお兄ちゃんに問いかけます。

どうした妹よ

 少し遠くからお兄ちゃんの声が帰ってきます。
 リビングでのんびりしているのかもしれません。

どうして、うちにはお父さんもお母さんもいないの?

 ガタンとリビングの方から音がしました。
 やはり聞いては駄目だったでしょうか。
 お兄ちゃんがリビングからやってきました。

妹よ。お兄ちゃんと二人は嫌か?

そんなことないよ? でもねどうしてかなって

そこまでいうなら……
あれはまだ妹が一歳位の時か……仕事から帰ってきた父さんがな……

 お兄ちゃんの声が震えているように聞こえます。
 お父さんがどうしたんだろう……と考えていると、ピンポーンとチャイムが鳴りました。

行ってくる

 あのお兄ちゃんが声を震わせていたのは驚きです。
 きっと何かあったのだろうと、考えていると一つの考えが浮かびました。
 だからお兄ちゃんは泣きそうだったのかもしれません。

さっきの話やっぱり大丈夫だよって言わなきゃ

ほい

手紙?

ちょうどよかったな

 何が丁度良かったのかわかりませんが、封を切ります。
 見たことない封筒です。
 中には仲が良さそうにならんでピースしている男の人と女の人の写真と便箋。
 便箋を見ると初めに『我が息子達へ』と書いてありました。

あーにぃこれって……

知りたがってたろ? 父さんと母さん

あーにぃっ!

 あたしは怒りましたがお兄ちゃんは何故怒られているか分かっていないようでした。

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